勇者と指輪と悪い夢
今までの経験から、これが不愉快なほどに現実的な夢であることはわかった。
「最悪だな」
トラウマというほどではないにしろ、夜のように暗い朝という、俺にとって忘れたくても忘れられない嫌な思い出を彷彿とさせる光景は目を逸らしたかったが、夢の中では身体を自由に動かすことが出来なかった。
「明日香、お前の力は」
夢の中の俺の口は俺の意思に関係なく動いた。
「わたしの力は絶望を希望に変える力」
明日香の言葉に俺は頷き、中指に赤い色の宝石が付いた指輪がはめられた左手を強く握りしめた。
「この手の届く範囲で希望を届けてやる!」
「君は何か勘違いをしているようだぁ。明日香ちゃんのこの力はぁ、希望を絶望に変える力だぁ! フフフ」
……。
「……。あの野郎」
悪夢から強制的に目覚めさせられた俺は見慣れた天井に向けてそう呟いた。
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