カインと夏海③

「痛っ!」


「カイくん? もしかして骨とか折れちゃった?」


 夏海は珍しく本気で焦ったような表情を見せた。


「そんな顔をするなよ。明日香が表に出ていたなら骨が数本折れていたかもしれないが、俺が表に出ている間のこの身体は元々の俺の身体と同じかそれ以上まで能力値が上がる。全速力のトラックに轢かれても死にはしねぇよ」


 でも、まぁ、さっきのタックルに関しては間違いなく痛恨の一撃だったから回復にはしばらく時間が掛かりそうだが。


「ど、どこかで休もう。そうだ、近くに喫茶店があるからそこに行こう」


「公園かどこかのベンチで大丈夫だって」


「いいから」


 こうして俺は夏海に喫茶店へ連れて行かれ、今に至る。


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