サーヤと少年②

「寒っ!」


 学校を出ると冷たく乾いた風が明日香ちゃんわたしの身体を凍えさせた。


「もう薄着は出来なさそうかな」


 この世界の季節感はわからないけれど、この寒さから考えるともう汗が止まらなくなるほどの厚さになる日はしばらく来ないだろう。


 そんなことを考えながらトボトボと歩いているとエグエグという幼い声が何処からともなく聞こえて来た。


「この声は、泣き声?」


 声の主を見つけるためにグルリグルリとあたりを見渡してみると、陽の出ている間は多くの子供たちで賑わっているのであろう公園に7歳から10歳の間くらいの少年が地面に直接座り込んでいた。そしてその泣き声もその少年の方から聞こえていた。


「こんな時間だし、放っておくわけにもいかないよね」


 生前の癖でそう口にしたときには既に明日香ちゃんわたしの足は少年に向かって歩み出していた。




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