夏まつり サーヤサイド
わたしは明日香ちゃんの足が止まるまでジーッと待った。
「はぁ、はぁ
明日香ちゃん、随分と走ったね。お疲れ様。
サーヤさん。明日夢が、明日夢が取られちゃう。
明日香ちゃん、泣かないの。明日香ちゃんは魔王様なんでしょ? それに明日夢くんは取られないよ。
本当?
サーヤお姉さんは嘘なんて吐かないよ。これでも生前は神様の使いと言われる僧侶だったんだから。
でも、明日夢が、夏海ちゃんを、好きだって。
きっと、明日夢くんは夏海ちゃんとお付き合いをしていくことになるだろうね。
そしたら私、また一人になっちゃう。
今の『また』って、2年前の話?」
その問いに明日香ちゃんはこくんと首を縦に振った。
「あれ? おかしいな。今の明日香ちゃんの前から明日夢くんが居なくなったら一人ぼっち?
え?
今の明日香ちゃんには少なくともわたしとカインくんの2人がいるでしょ?
でも。
それに、明日夢くんは夏海ちゃんとお付き合いをしても明日香ちゃんの弟だよ。きっと明日香ちゃんに寂しい思いはさせないよ。
そう、かな?
さっきも言ったでしょ。わたしは嘘を吐かないって」
明日香ちゃんの気持ちが晴れたのか、明日香ちゃんの中はさっきよりも居心地がよくなった。
「さぁ、早く夏祭り会場まで戻ろうか。突然いなくなっちゃうからみんな心配していると思うよ」
まだ明日香ちゃんの中で整理がついていないとは思うけれど、夏海ちゃんに対する認識が弟の彼女から幼馴染に戻る日はそう遠くないと思った。
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