朝のひと時
5月6日
ゴールデンウィークが明けてしまいおよそ一週間振りの登校日。
「姉ちゃん!」
「明日香!」
僕とカインは外側と内側から姉ちゃんに声を掛けていた。
「ん~。あと5分」
そろそろ家を出なくてはいけない時間なのだが、姉ちゃんは自分が起きなくてもカインが自分の身体を動かして朝の支度を済ませてくれるので登校時間ぎりぎりまで自分の人格を眠らせていた。
「姉ちゃん、支度はカインが全部やってくれたからもう起きて学校に行くよ」
「カイン、学校まで行って。学校で起きるから」
「姉ちゃん、わがままが過ぎるよ」
朝早くから怒るのは僕も姉ちゃんも、姉ちゃんの中で聞いているカインも良い気分にならないので優しく、少し強めに言った。
「学校に着いたらコンティニューしてでも起きるから」
「それ、どういう意味?」
姉ちゃんのことだから多分意味なんて無いのだろうが。
「仕方ない。明日香!
何?
こうしよう、今日だけは俺が学校まで行ってやる。だが明日からは身支度までしか手伝わない。
うん。
だが、この条件が飲めないというのなら俺は今すぐ明日香の人格と入れ替わる。
クククッ、魔王に提案とは良い度胸だ。明日から本気を出すー、スー、スー」
カインの提案を二つ返事で承諾した姉ちゃんは学校に着くまでカインに身体を預けてぐっすりと眠っていた。
きっと明日も同じ光景を見ることになるだろうと思いながら僕は姉ちゃんの隣で上履きに履き替えた。
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