セイレネス・ロンド/歌姫は背明の海に

作者 一式鍵

17

6人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

大衆を満たすため
手軽にコストよく、娯楽のように大量消費と廃棄が繰り返されるジャンクフードのように

その死すら弄ばれながらも、過酷な戦争から人々を守り続けた歌姫達

その中でも歌姫達の未来を、この国を最も憂いて背負おうとした一人の少女の物語が、ここに完結する



三部作最後である今作は、おとぎ話のように
「めでたしめでたし」で終わる物語ではない。
きっとそれは、この作品を読んでいる読者ならばすぐ理解するであろう。
SFはフィクションの1ジャンルだ。
しかし、ここに描かれているモノは正しく現実の、人間そのものである。


現実は常に理不尽なものだ。
生まれる時代も環境も身体すら選べなければ、己がとれる手段すら限りある選択肢の一つだ。

我々は常にその中で「今、何を成すべきか」を選択しなくてはいけない。


選択と思考を放棄した人間を。多数決という依存と怠惰に責任を霧散させた人間を。その画面の向こうに居る者は、あなたと同じ血のかよった一人の人間であると。それは遠くの物語ではなく、あなた自身が決断し責任を担う当事者であると。


なぜ、あなた方は目を逸らす。


そう、なにかで思った事がある方ならば、
きっと彼女達のささやかな願いを受け止められるだろう。
彼女達がとった、その酷くささやかな希望も望みも、捨てきれなかった想いも、やらざるおえなかった悲しみも。

全て、その全てを肯定できるだろう。



夕凪のように静かになった海は、再び荒れ狂う
全てを壊し尽くす嵐は、海に酸素を混ぜながら深海の淀みすら浮きあげる

後の、ささやかな豊かさを願いながら

★★★ Excellent!!!

やっと読み終えました。
読んでいるうちに物語の濃さに圧倒されてしまいました。圧倒されて途中で止まってしまいました。
人間一人一人がちゃんと綺麗さを、穢さを持っていて、戦争という理不尽に呑み込まれていく。もう日本語が崩壊してしまうくらいに感想が出てきます。
続くマリオン編にも濃いドラマに期待します。