第22話 お泊まり会をやろう
「ねぇ、私達何か間違えてない?」
「うん、いったいどこで間違えたんだろう?」
「間違えたんじゃなくて騙されてるだけじゃないかなぁ。」
「そうですね、タヌキさんに騙されてたのではないでしょうか?」
学園社交界が無事終わり、翌日の全生徒による片付けと清掃もやり終えた私達は、学園の休日を利用し、初めて5人揃って遊ぼうとなったんです。
それなに何をどう間違えてこんなところにいるのか・・・。
「私、帰りたくなってきた・・・。」
「実は私もそう思ってたところ・・・。」
「できれば私も帰りたいんですが・・・。」
「私も一緒に帰っていいかなぁ・・・。」
「さっきから何言ってるのよ。」
「「「「 おっ王女様!! 」」」」
私達の後ろから声をかけられたのは、この国の第二王女様ことミリアリア様でした。
「皆んな、いらっしゃい。」
「アリス、この子達今帰ろうとしてたわよ。」
「えええ、なんで!」
「なんでって・・・お城が目の前に・・・。」
「当たり前でしょ?今日はお城に止まるんだから。」
「「「「・・・・・。」」」」
そう、私達の目の前にそびえ立つのはレガリア城、今日の宿泊場所なんです。
どうしてこんな事になっているかと言うと・・・。
********************
今をさかのぼること2日前・・・
「ねぇ、明後日って2日もお休みがあるでしょ?よかったら皆んなで街に遊びに行かない?」
私が何気なく放った一言が、後に取り返しのつかない事になるなんて、その時は思ってもいなかったです。
「あら、いい考えですわねココリナさん。私は、どちらの日も予定はございませんわ。」
いつもニコニコ、とても優秀なリリアナさんが賛同してくれます。
「私も、どちらの日で大丈夫です。実は先週オープンしたカフェに行ってみたいと、思っていたところなんです。」
私と同じ平民、実は影が薄いのを気にしているカトレアさんはカフェに行ってみたいっと。
「私も両日共、特に予定もないからいいけど。」
凛々しいお姉様的存在、でもとっても可愛いもの好きのパフィオさんは予定なしっと。
「私はお母様に聞いてみないと・・・。」
一切の常識が通用しない、超天然さんのアリスちゃんは保留っと。
「そうですよね、アリスさんは簡単に街には出れませんものね。」
「そうなの?」
街に出るのも大変なんだ、やっぱり住んでる世界が違うんだなぁ。
「私、街に出かけた事ってほとんど無くて・・・。」
「ほとんどって、普通に街に出れないの?」
「うん、一度ミリィと黙ってお城を抜け出した事があるぐらい。」
「えっ!?黙って抜け出さないと、お城から出れないの!?」
それってもう、よく物語にで出てくるお姫様だよね!
「出たことが無いと言っても、今も学園に来ているから、全くって訳じゃ無いんだよ。ただ、街を歩いた事がなくて・・・。」
「移動は全部馬車っという事なんですね。」
「はい、いつもミリィと一緒だから必ず護衛の騎士様が付いてこられて・・・。
あっ、そうか!私一人だと大丈夫なんだ。今日帰ったらお母様に聞いてみるね。」
アリスちゃん何か喜んいるけど・・・。
「「「「 (無理でしょ!) 」」」」
翌日
「お母様が遊んでも大丈夫って言ってくださったんですよ。」
あれ?なんか意外とあっさり許可がでたんだ。
「よかったねアリスちゃん。それじゃどこ行く?」
「ココリナちゃん、その前に皆さん二日とも空いているのでしたら、お泊まり会をしませんか?」
「お泊まり会ですの?」
「はい、せっかく皆さんで集まれるんですから、私お友達とパジャマパーティーをするのが夢だったんですよ。」
アリスちゃんが目を輝かせているけれど、お家の方にご迷惑を掛けちゃうから、急には難しいと思うよ?
「ですが、お泊まり会といいましても、私はお屋敷にお世話になっている身ですし、皆さんのお家ですと・・・、ご家族の方にご迷惑をお掛けしてしまいますから。」
リリアナさん、今私達の方を見ていたから、お家事情のことを考えてくれたみたいです。
「それでしたら大丈夫です。お父様の許可も頂いていますし、お泊まり会も、お母様が提案してくださったんですよ。
ですから気兼ねなく是非お越しください、って言っておられました。」
「「「「・・・・・。」」」」
「ええっと、アリスさん。『お越しください』というのはどちらに?」
ああああああ、リリアナさんそれ聞いちゃダメなやつですよぉぉぉぉ。
「お城に。」
「「「「・・・・・。」」」」
「ミリィから聞いたんだけれど、ココリナちゃんとカトレアさんは、お茶会のお誘いをされたんだよね?
お母様がそれだったらお泊まり会をすればお茶会も、皆んなで街に遊びに行くのも一度に出来るんじゃない?って。」
「あ、あの、アリスさんそれはもう決まっておりますの?」
このままアリスちゃんの話しを聞いていたら、何か危険な感じがしたので、途中でリリアナさんが話しをぶった切ってくれました。
ただ、いつも冷静なリリアナさんの声が震えています。
「お母様がすごく張り切っておられて、皆さんのが泊まられるお部屋の準備も今頃できてると思います。」
すでに退路は絶たれているみたいです・・・。
「「「「・・・・・。」」」」
「それで明日の朝、皆んなの家の前まで馬車が迎えに行く事になってるから。」
・・・何いってるの?アリスちゃん・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます