第10話 自習!ティーパーティー

「それでは午後授業を初めます。」

午後は教室から実習室へ移動して行うみたいです。


「それではまず用意しているテーブルに、グループごと別れて下さい。まだ顔見知りがいない方は、こちらでグループを作りますので、前の方へ集まって下さい。」


クラスの皆が各々のグループに別れていき、私たち5人もあらかじめ設置されていた、複数のティーテーブルの一つに移動します。


各クルーブがそれぞれテーブルに別れたところを確認し、マリー先生が、

「それでは本日の実習内容を説明いたします。

初日ですので簡単なティーパーティーを2、3人づつ主人役と接待役に別れ、実践形式で行います。

まずグループ内で主人役と接待役に別れてください、役柄は後で交代いたします。」


「どうしようか?どうやって役柄を分ける?」

私が皆さんに聞くと

「そうですね、まずアリスさんと、・・パフィオさんに主人役をやって頂いてはいかがでしょうか?」

リリアナさんがまず私の名前を呼び、皆んなの顔を見渡しながらパフィオさんを指名してきました。


皆さん頷いておられるので決定ということでいいのかな?

「分かりました。それではよろしくお願いします。」ペコリ


「カトレアさん、ココリナさん、ティーセット取りに行きますので、お手伝いして頂いてよろしいでしょうか?」

「「はい、分かりました。」」

「お二人は少しお待ちくださいね。」

「すみません、よろしくお願いしますね。」

「はい」

リリアナさんが的確に皆さんに指示をだして動かれます。


「あんなにテキパキと指示を出されたりできるなんて、すごいなぁリリアナさん、私もあんな風になれるかなぁ。」

「アリスさんはなぜ侍女になろうと思われたのですか?」

待っている間に、私が独り言を言っているとパフィオさんが聞いてこられます。


「ん〜、私、両親がいなくて、今は育てて頂いているご両親のお屋敷でお世話になっているんですが、いつまでもご厚意に甘えている訳にもいかないので、いつかお屋敷で働いてご恩をお返しできれば、と思っているんです。」

「立派なお考えをお持ちなんですね。」

「えへへ、ありがとうございます。」

笑顔で褒めてくださいますが、ちょっと照れちゃいます。

そういえばこの事を話すのは、ミリィ以外では初めてだなぁ。


「お待たせしました。それでは始めましょうか。」

リリアナさんたちがティーセットをキャスターに乗せ運んできてくださいました。

ん?キャスターで運ぶなら3人もいらなかったんじゃないの?


「それではお嬢様、お席にご案内させていただきます。」

をを、急にリリアナさんの雰囲気が切り替わりましたよ。

私も負けてられません!今までお母様に教えて頂いた事を実践するのみです!


私とパフィオさんがそれぞれ椅子まで案内され、サッと椅子を引き、エスコートしてくださいます。

私達が座るとリリアナさんが茶葉をポットへ入れお茶の準備をし、カトレアさんとココリナちゃんがお茶請けの用意をしてくれます。


お茶のいれ方に興味があったので、リリアナさんの作業を見ていると、茶葉を蒸らしたりカップを温めたりと、一連の動きに迷いがなく、気づけば私達の前にソーサーに乗ったカップが出てきました。


「お嬢様、カモミールティーにございます。」

私の前に差し出されたカップから、カモミールの香りが漂ってきます。


そっとソーサーごと持ち上げ、カップを口元に運び一口飲むと、ふわっとカモミールのフルーティな味わいと、まろやかで甘い味わいが広がります。


「うわぁ、おいしい。」

「ホント、おいしいです。」

パフィオさんも私と同じで気に入られたようです。


カップをそっと音を立てずソーサーに乗せから、テーブルの上に戻します。


「ありがとうございます。カモミールは疲れを癒す効果がございますが、苦手な方もおられますので、苦味を抑えるために蒸らす時間を少し早め、蜂蜜で味を調えております。」

ニコリと笑顔で説明してくださるリリアナさんに

「「「「 おおぉ、 」」」」

思わず皆さんから賞賛の声がでます。


「リリアナさんすごいですね。一連の動作がすごく自然で私見とれちゃいましたよ!」

「ありがとうございます。アリスさんやパフィオさんもすごく優雅なお姿でございましたよ。」

「えへへ、リリアナさんに褒められるとなんだかうれしいです。」


「リリアナさんはどこかで習われているのですか?とても素人とは思えなくて。」

パフィオさんがリリアナさんに聞かれます。それ、私思っていたんです。あの一連の動作はとても素人さんと思えなくて。


「はい、私の両親が ライラック公爵様にお仕えしており、子供の頃からお屋敷の侍女になるよう教育を受けているんです。」

「公爵様にお仕えされてるんですか!?だからあんなに慣れておられるんですね!」

すごいです!公爵

様ですよ!しかもご当主様はたしか国の宰相をされている方なんです!




リリアナさんの驚きの告白の後、今度は役柄交代です。

「それではお嬢様方、お席にご案内させていただきます。」

先ほどのリリアナさん達がされていたのを思い出し、皆さんをエスコートします。


座られたあと、パフィオさんお茶請けの用意をしてくださっている間に、私はお茶の用意をします。

何種類かある茶葉の中から私が選んだのはダージリン、上品な渋みが特徴の茶葉です。

選んだ理由は単純に慣れているから、ハーブティーはあまり詳しくはないけれど、紅茶大好きなので侍女のエレノアさんに色々教わっているんです。


「ダージリンのストレートでございます。」

お茶を入れ終え皆さんの前に差し出します。


「うわぁ、おいしい。」

「ほんと、ダージリンの渋みがよい感じが口に広がりますね。」

ココリナちゃんとリリアナさんが褒めてくださいます。


「すごくおいしいです。でも私がいつも飲んでいるダージリンの味となんだか違う気がします。」

「ダージリンは取れる季節によって味や香りが変わってきますから、カトレアさんが普段飲まれている種類とは違うのかもしれませんね。」


ダージリンは季節により種類が分けられるのですが、今回ご用意があったのは1番茶、ファーストフラッシュだったので、ダージリン本来の香りを楽しんでいただくため、ストレートでいれたんです。


「ダージリンは入れ方一つで大きく味と香りが変わるんです、カトレアさんが美味しいと感じられたのは、アリスさんの入れ方がとてもお上手なんですよ。」

私の説明にリリアナさんが補足してくださいます。リリアナさんすごいなぁ、紅茶にも詳しいんだ。


そんな会話をしながら、なんとか無事に実習が終了いたしました。


ちょっと気になったのでイリア様の方を見てみると、あれ、イリア様先ほども主人役をされてなかったかなぁ?

「まったくあの男爵令嬢様は、いったい何をするためにこの学園に入られたのでしょうか。」

私が見ている方が気になったのか、パフィオさんが隣に来て小声てそう言ってこられました。


「アリス様、あの方が、今後何か言ってこられたら私にご相談ください。お力になりますから。」

「? ありがとうございます。」

なんだろう、何か不思議な感じがしたんだけど・・・まぁ気のせいですよね。

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