〜ガールズトーク〜

1.5餡子「おぅおはよ、みみぃ。例のごとく電車が遅延しやがったんだよ。園田市都線がな。もう慣れたけど、つい遅くなっちまうな。いざとなれば証明書あるから大丈夫なんだけど。で、パン屋?何だそれ?正門の向かい側のあの店のことか?アタシそんな話聞いてない。チョコ、コーヒー、パンだって?そんな甘ったるそうな食いもんより、昨日はカップラーメン食べてたっつーの。」


2.5海未「あんこさんおはようございます。コーヒーですか。私、コーヒー苦手なんですよ。独特の癖、って言うんですかね。鼻の底にいつまでも残る感じがどうしても。皆は香り深いと評しますけど、私の舌には合いません。スイーツやパンは甘過ぎるくらいが好きですかね。それはともかく、部活、忙しそうですね。バレー部、そろそろ大会があるらしいじゃないですか。教室の他の部員さんも忙しそうです。新しく席替えしたためか皆の様子がよく見渡せます。あんこさんも尚部活着のままで、制服に着替える余裕なんて無いようですね。朝練ですか?」


3.5餡子「あぁ、朝から面倒だ。別に望んでないのに。アタシは甘いより辛いのが好きなの……って、こんな話してると朝からお腹空いてくるから止めろ。授業前から早弁って、恥ずかしい過ぎるし。バレー部のやつらは遠慮なく食ってるみたいだが。とにかく食い物の話題は却下っ。ほら、授業の準備でもしたした。席に戻りな、みみぃ。」


4.5海未「分かりました。では私を食べてください。……冗談です。今のは無かったことにしてください。ともかく、あんこさんは自分に厳しいのですね。欲も惜しんで精を出す姿、立派です。対する私は生徒会に参加していますが、二学年目なのであまり多忙じゃないのです。先輩方は夜遅くまで残っているとお聞きしますが。将来的には私も夜勤を務めるようになるのですかね。生徒会長に立候補するつもりなので、覚悟しておかねば、ですね。おっと、少し個人的な話が長引いてしまいました。では、席に戻るとしましょう。」


5.5餡子「よしよーし、みみぃ。一旦落ち着こうな。」


6.5海未「まぁ、席に戻ると言っても、直ぐ前なんですが……ん、何か言いました?」


7.5餡子「アタシの話聞いてないのかよ。全然反省してないな。まぁ許すけど。」


8.5海未「それなら良かったです。ではもう先生がいらっしゃるので、引き続き静かにしましょうか。」


9.5餡子「面倒くさっ。……この機会に遠慮なく言わせてもらえば、みみぃ、お前本当は相当なアホだぞ。くるくるぱーのぱっぱっぱーだ。アタシが一番近くにいたから一番知っている。小学生の頃から頭が悪くて、ここに入るのも一苦労だったんだよなぁ?いつまでもそんな脳みそ天国状態だとこの先やっていけるのか?部活動もしないで、ただひたすらのんびりとお茶を啜っているような空間に存在して何になる?中途半端に女子中学生的な生活に身を置いて、将来のことは考えているのか?馬っっっっっっっっっ鹿じゃね?」


10.5海未「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


11.5餡子「……全く。楽しそうで、何よりだよ。」


12.5海未「まぁいいです。何よりも、あんこさんのことを尊重しますから。あんこさんは私の大切な人にちがいないので。ご自由に、どうぞ。」


13.5餡子「前者は思い切り嬉しがるとあれだけど、後者はその通りだ。アタシが自らすることだからな。その言葉は素直に受け止めるよ。それにしてもみみぃは良い性格してな、おい。人になじられても嫌がるどころか、嬉々として受け入れるなんて。アタシだったら考えられねーぞ。って、こう言ったらまた罵詈雑言の嵐が再発するな。もう汚い言葉は止めておこ。」


14.5海未「それですか。それでもいいです。私はまた集中モードに入りますので、どうぞよしなに。」


15.5餡子「諦めろ、な?」


16.5海未「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


17.5餡子「お前絶対日本語通じてないだろ。」


18.5海未「……あ、本当ですね。分かっていませんでした。ただ薄々勘付いてはいました。少しぼーっとしていただけで。えぇそうなのです。」


19.5餡子「あっそ。妄言はいいとして、確かにもうそんな時間だ。今日の授業は何だかあっという間に進んでいくな。じゃ、購買行ってくらぁ。」


20.5海未「お昼ですし、それがいいですね。私は質素な手作りお弁当です。生徒会役員たる者、しっかりと自立した生活が求められますからね。では、いただきます。おぉ、あんこさんの持ってきたものは重箱ですか。とても美味しそうです。凄いです。本当に、本当に……少し、くれませんか?あまりに綺麗な食材達で、涎が出てしまいそうなので、役員としてだらしないと思われないように、一口分けてくれませんか?あーん、ってしてくれませんか……?」


21.5餡子「あーんしょっと。ただいま。おうおうどうした、勢いよく抱きついて。もしかして、この数分離れたのが寂しかったのか?たったこれだけで?子供っぽいというか、ドエムの割に珍しい反応するな、お前。」


22.5海未「……もう、からかわないでくださいよ。でも、そんなあんこさんも好きです。改まって言うと照れますが、私、あんこさんのこと、友達として、すごく好きですよ。お茶目で、可愛らしいですし、世話焼きな部分も好きです。一生、友達でいたいと思っています。あんこさんは、どう思ってますか?」


23.5餡子あんず「は?何言ってんの?」


24.5海未うみ「そうですかっ。」

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《六月編》百合短編集 いろいろ @goose_ban

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