第458話和解調停

今朝はまだ寒いですがいい天気です。

大川沿いを歩き10時45分には地方裁判所に着きます。

3年半前に来た時は梅雨の最中で重い気持ちで弁護士と労働裁判で懲戒解雇無効訴訟を起こしたのです。

労働裁判では調停出来ず一般裁判に入りました。

その間に膀胱がんで入院し手術後、腎不全が悪化、遂に人工透析を行うことになりました。

何時ものように馴染みの弁護士が長椅子にかけて待っています。

「今日は法廷ではなく打ち合わせの形をとるそうです」

と言われて部屋に入ります。

「訴訟の書面を読みましたが、懲戒解雇は無効と思われますが、60歳定年の就業規則の壁は厚いですね?」

新しい裁判官はあまりにもあっさりと口火を切りました。

「すでに60歳を超えて仮払いを受けていますが?」

「そうですね?」

どうもここが裁判官が悩んでいるところなのです。

この会社は60歳を超えて出向契約を締結しています。

だがこれを認めてしまうと裁判所が60歳定年の就業規則を無効にすると言う判例を作ってしまうのです。

だからここから言葉が出てきません。

「3500万の金額変更の書面が出ていますね?取りあえずこれの反応を聞いて見ましょう」

それで表に出されて待っていた被告の弁護士と専務が入ります。

「判例を作りたくないと言っているのですよ」

前の女性裁判官もそうでした。

30分が経つと被告が出てきて入れ替えに原告が入る。

「なかなかしぶとい会社ですね?被告は現時点で60歳定年に1年足す時点での和解ではどうですか?もちろん相手は承諾をしているわけではないのですかねえ?」

半年分を値引きしろと言っているのです。

今日の私は和解を新しい出発と言う意味で考えています。

「1か月後もう一度返事を聞きます」


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