第447話裁判官の引継ぎ

「困ったことになりました」

弁護士からの携帯です。

前回和解協議の後裁判所から再度の和解調停があったばかりです。

得意の裁判官の駆け引きに双方の弁護士が折れたのです。

「また脅されたのですか?」

「突然の転勤なのです」

ああ、これがあったのです。

「では?」

「引き継ぎを挟んで2か月は伸びますね?それとタイプによると判断が大きく変わる恐れもあります」

「仕方がないですね?」

とは言いながら心の中でため息をついています。

もう4年もこうして不当解雇裁判は続いています。

パートに出ている妻のことを考えると気が重いのです。

携帯を切るとあの相棒のからの着信です。

私はNPOの事務所を出て庭から携帯を掛けます。

「今くれたのだな?」

「ええ、これまだいる社員から聞いたのだけど、あの会社持ち不動産を全部売り出したようですよ」

「やはり銀行から融資が受けられなくなったからかな?それに業績も悪化していたな?」

「どうも新しい会社を作っているようです」

もし会社がなくなったら裁判勝訴も無意味です。

もう和解条件どころではなさそうです。

そんな時に裁判官が替わる!?余程ツキがないようです。

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