第431話ブラック企業
今日は久しぶりに左足が強烈に吊りベットのボタンを鳴らします。
看護婦が足の裏を持ち上げて揉んでくれますが治まりません。
次に頭の上のランプが鳴ってもう一人看護婦が走ってきます。
「血圧が60に下がっています!砂糖水を入れますよ」
と言うことで3か月ぶりにドライウエイトを思い切り1000ℓも上げることになりました。
足を引きずりながら不当解雇の原因になった事件を担当している弁護士に会いに行きます。
当時勤めていた会社が出資者の株を不当に自社に買い付けたと言う登記をしていたのです。
その刑事訴訟が私が責任者になっていた子会社で起こったのです。
私は刑事事件が始まる前に本社の社長に和解を提案しました。
それが懲戒解雇の本来の解雇理由です。
「久しぶりですね」
現在民事訴訟を続けている弁護士がコーヒーを入れてくれます。
「最初の刑事訴訟では不起訴、民事もその煽りで敗訴になりやっと高裁で逆転勝訴を勝ち取りましたよ」
その頃私は警察に任意の取り調べに何度も呼ばれ、この事務所にも証人調書で来ていました。
「あの会社が刑事訴訟に出していた証拠書類と、社員の証言を見事にあなたの証言で翻りました」
判決文を見せてくれます。
「よくもまあ、捏造書類を作ったものだよ。社員も嘘ばかりだった」
その社員も踏み絵を踏んだのに今はこの件の絡みで解雇されました。
「これがブラック企業なんです」
「それで労働裁判の方は?」
「ようやく不当解雇は認められました。後は古い60歳定年の規定の効力です」
「それならそちらの担当弁護士にこちらが集めている判例を送りますよ」
「ありがとうございます。まだ終わらないのですか?」
「ええ、まだ後2件関連民事が残っています」
裁判は出来るだけ避けたいものです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます