第420話貧すれば 鈍する

透析の後、久しぶりに前の相棒に会うことに。

もう半年になります。

「今はどうしているのですか?」

「さんざんですよ。裁判ですよ」

彼は辞めた上司らと労働裁判を起こしたのは聞いていますが。

「労働裁判を起こしたのですが、反対に会社から損害賠償で訴えられたのです」

「訴えられている内容は?」

私は労働裁判を起こした彼らとは一線を引きました。

それはブラック企業にすっかり染まっていたのです。

会社もブラックなら社員もブラックだ。

「慣習でバックを取ってたのを解雇になった同僚に証言されたのです」

「脅された?」

「そうです」

「不動産部長は?」

「筆頭で800万ですが私らは20万そこそこなんですよ」

「裁判は?」

「不動産部長に一任してたのです。それが弁護士に敗訴の可能性が高いと」

「彼とは組むなと言ってただろ?」

「会社は偽の損害賠償を追加してきています」

「それで?」

「弁護士が証人に立ってほしいとのことです」

「それは無理だな。彼らは私の不当解雇に協力して会社側の証人だったんだよ」

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