第380話タイムアウト

昔二人でよく行った近くの小料理屋です。

理事長はNPOに慣れてきて私はベンチャーの社長でNPOの顧問を引き受けていました。

理事長の横にはどこか見たことがある人が座ってビールを飲んでいます。

「ああ」

思い出しました!彼は理事長が銀行時代から作っていた経営塾のメンバーです。

「彼も今年定年退職で銀行の役員を退いて経営塾の塾長を引き継いでもらっている」

「20年ぶりか」

「頭取になるって言ってましたね?」

「残念ながらタイムアウトや」

「今回理事に入ってもらうことにしたんや」

「あの再建案を見せてもらったが、やはりそこまでする必要があるのか?」

彼は私の作った再建案に赤線を入れています。

「彼に再建を担当してもらって早いところで理事長交代や」

どうも引退を考えているようです。

「人件費か?」

「そうですね」

「編集室は独立するのか?」

「このまま行くならそれしか道はないと思っています」

「何とかこの案で行くから応援してや」

「私も独立は避けたいところです」

「相変わらず儲けるのがうまいな。出来たらまた一緒にやりたいな」

「理事長から透析の話は?」

「ああ、でも頼りにしてるさ」

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