第344話人の繋がり
「大丈夫ですか?」
と言われながら、編集長と古巣の出版社を覗きます。
「ここ今は私の頃の新入生が編集長ですよ」
懐かしそうに応接に並んだ月刊雑誌を開いて見ています。
「辞めて10年になるかしら」
彼女は子供が産まれて辞めてから今のNPOの編集長にカムバックしています。
ここはベンチャーを扱う雑誌です。
ドアがノックされて編集長と若い社員が入ってきます。
「単刀直入ですが、お宅の半農半xの教室の展開をシリーズで載せようと」
「農業もベンチャーになるのですか?」
「今や農業はベンチャーですよ。本社もこのシリーズを参考に事業を検討するとのことです。こちらの条件をまとめていますが?」
出された企画書を二人で覗きます。
どうもNPOで書いた記事と材料を提供して編集をするようで毎月100万という提携掲載料が奮発されています。
「大判振る舞いですねえ?」
「記事というよりは事業の提携だと本社は見ていますので、おいおい上の人に会っていただくことになります。今の顧問は同期だったようですね?」
顧問が在籍している時は副社長で、辞めてから社長をしばらく勤めていたのです。
人の繋がりがこの歳になって初めて輝いています。
「ボス、ちょっとお祝いに飲みませんか?」
と編集長に握手を求められました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます