第268話悪縁

昨夜は部長から5度の着信と留守電が入っていました。

仕方なく携帯をかけます。

「どうしたんだ?」

「不動産部長から喚かれてますのや」

真に情けない声です。

「例の刑事訴訟で彼女の証言が取れないので、どうも工事課長に内々に会ったようなんです」

「馬鹿だな。あれは不起訴になったよ。K火災にぷんぷんその臭いがあった」

「それを知らないで30万を証言で渡したんだそうです」

相変わらずの茶番劇をしています。

「昨日夜に二人で会って私が呼び出されたのです。どうも工事課長が恐喝で告訴を受けたようです」

「あまりにも手回しのいい感じだな」

どうも工事課長の恐喝時点でその準備をしていたようです。

「恐喝合計は300万で録音も領収書もすべて揃っているらしいです。今日任意でH署に出かけています」

「それは身から出た錆だな。それより不動産部長とこの際縁を切った方がいいんじゃないか?」

どうも私も悪縁です。

透析は一生の縁ですが、懲戒解雇の裁判はこの辺で縁を切りたいところです。

そう言うものほどだんだん絡まって来るようです。

相変わらず今度はシニアNPOの事務長から着信です。

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