第222話道草はできない
シニアNPOの談話室では3時になると部長と間借り社長と私でぼそぼそ雑談が始まります。
「昨日理事長と話しましたが、来週から検査入院します」
「どこが悪いのですか?」
「持病の心不全です。今まで何度か入院を繰り返しながら引っ張ってきたのですが、今度は手術だと思います。今後のNPOの運営の話をしましたが、他の会社では勤まらない息子に譲りたいと考えているようです。残念ながら無理だと思いましたよ」
部長は元々大手の会社で役員をしていたようで、組織の運営は詳しいようです。
「実は私もここで家賃を払って仕事をしていても先が見えないのです。忙しい時にボランティアで講師に使われる。それなのにメリットはほとんどないんですから」
「あなたは?」
「私も詳しく言えませんが、重たい問題を幾つも抱えていてしばらく身動きが取れないので、この間に第2の人生を見つけようと思っています。でも残念ながらここにはないようです」
「ここは何ともならないですかねえ?」
「トップが風土を作ってしまいます。息子には危機感が全くありません。今までにあるものをただ続けているだけです。私にはもうそんな道草をする暇はありません」
前の会社の社長の息子を思い出しました。
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