第218話乗り越えて行くべきもの

ここ数日大川沿いをゆっくり歩いてシニアNPOに出かけています。

談話室の端に机を置いてもらって半日ほどあれやこれやと提案書を考えています。

月に1度程度の講師や卒業生のOBの交流会のようなものです。

だがこのNPOには根強い問題があるようです。

3日目に始めて隣の一角を間借りしているOBと話をしました。

「コーヒを入れたのでどうですか?」

「そちらは何をしているのですか?」

「NPOの紹介でアプリの制作をしていますが、それでは食えないので友達の下請けをしています。最初は無料で借りていましたが、事務長から3か月後から家賃を払うことになりましたよ。もうすぐ1年になるけどどうしようか迷っています。このNPOを見てどう思います?」

「理事長の志は高いのですが、現場の息子の事務長を始めとした進め方がチグハグかなと思います。それに事業性がないので持たない気がします。講師の話も出ましたが、ほとんどボランティァで生活ができません」

「私も同感です。友達と共同会社が破産したのでここに来ましたが、NPOの現実も厳しいですね」

「私も解決しなくてはならない問題を抱えています。それを見つけに来ましたが残念ながら見つけられなかった」

病気のことも、労働裁判のこともここでは誰にも話していません。

これは私が乗り越えて行くべきものだと思っています。

「時々話をしてくれませんか?」

「はい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る