第202話証言を翻す

5時に職業訓練後、親父さんから連絡があり会うことになりました。

「証言をお願いしてご無理言っていますね。前もって少し話をしておきたいことがあるのですよ」

「ホテルはすべて手放されたのですね?」

「保証金を積まれたので仕方がないですわ。金の勝負をされたら勝てません。でもこれは意地でも負けられんのです。当初のトラブルの和解策として今のホテルの会社を作り、40%の株をこちらが持ちホテルの社長が20%なので乗ったのですよ。それがその時からその株を取り戻そうとしていたんですから。こんな簡単なことが裁判官は理解しないのには弱りました」

「それは労働裁判もまったく同様です」

親父さんは鞄から調書のコピーを出してテーブルの上に置きます。

「ここまでのことを証言しますか?」

不動産部長の原告側に乗り換えた証言です。

「偽証罪は免れませんね。後の二人も同様の証言ですね。3人が本社の社長の指示で今回の一連の事件を起こしたと言ってるわけですね?」

部長の証言の中に、私の解雇は総務課長が仕組んだとあります。

でも証拠となるものはありません。

「それは彼も背に腹替えられないと言っている。で弁護士に別な弁護士を紹介させた。彼らも未払い金返還と損害賠償訴訟を始めた」

「裁判だらけですね」

「私は彼らを信じているわけではないのですよ。私はあなたの発言だけを信じてきた。これだけを伝えたくて」

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