第193話兵糧攻め
今日は膀胱がんの3か月ごとの内視鏡の検査の日なので職業訓練は休みました。
「どうです。前回の時の血尿は止まっていますか?」
「2か月かかりましたが、今は止まっています。膀胱痛もありません」
「膀胱は半分に、尿管もやはり狭くなっています。でも膀胱の中は傷口は残っていますが再発は見られません。これが済んだら以降6か月検査に入ります」
診察室を出ると、癖でポケットの中の携帯を覗き込みます。
不動産事業部の彼女からの着信が2度入っています。
「どうしましたか?」
「昨日、総務部長から不動産事業部とマンション住み込み員全員の解雇通知がありました。1か月前通知だと言っています。会社都合にはなっています。対抗手段はないですか?」
「その状態では難しいですね。部署の配置換えは訴えられますが」
「向こうもホテルに行くなら相談に乗ると言っています。3名がホテルに行くと言っていますが、私は娘を抱えてのシングルなので無理です」
「就職活動を始めるしかないですね。労働審判は割に合わないので薦めません。まだ君なら他の不動産会社でも充分採用されますよ」
労働裁判はある意味では兵糧攻めみたいなものです。
「それと運送から管理人に替わった社員覚えていますか?」
「ああ、前に偶然に会いましたよ」
「実は昨夜管理しているマンションの部屋を水浸しにしていなくなったのです。それでその苦情でマンションに来ています。下の喫茶店が水浸しで営業ができなくなったのです」
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