第187話拾う神あり
「すいません突然に押しかけてきて」
そう言って私の前に座っているのは前のホテルの支配人の一人です。
「でみんなは今どうなっているのですか?」
突然不当解雇をされてからはホテルの社長以外は誰とも会ったことがありません。
「専務が辞めたことはしばらく知らないでいました。本社の不動産部長が来て、これからはわしが見ることになったと宣言したので大騒ぎになりました。それで手のひらを返すように髭の専務が接待を始めるようになり、体制が大逆転して社長の影が薄くなりました」
「相変わらずの人ですね」
「それが給料のことで本社の社長から減額を言い渡されて、髭の専務がみんなを先導して親父さんのところに駆け込んだのですよ。それと入れ替わるように元専務の支配人が不動産部長と組んでホテルを見るようになったのです」
「はあ、それは聞きましたよ」
「それからあの不動産部長の突入が2度あったのです。それでホテルの支配人の大半が本社になびきました」
「どうしてそうなったのですか?」
「元々髭の専務は信望がなかったのですよ。今回も親父さんの信用を失って私の下でフロントをしています。そういうこともあって親父さんの証人をしていますが、ここでも髭の専務が刑事訴訟の本社側の保証人をしていたのが露見して」
「それは警察でも聞きましたよ」
「きっと本社の社員は嘘をつきまくるだろうからと、私が労働裁判の証人になるようにと親父に言われたのです」
嫌な社員ばかり見てきましたが、久しぶりに心がほっと熱くなりました。
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