第142話和解交渉の破綻
人間とは弱いものだと思います。
それでも労働裁判をお願いしている弁護士に相棒の件を連絡しました。
「いやあ、難しいですよ」
その一言でした。
今日はホテルの社長から弁護士に会ってくれということで刑事訴訟を担当している年配の弁護士に。
一対一の面談です。
「私はY署とH署の両方に呼ばれました。どんなことが起こっているのかさっぱり分かりません。そこをまず説明してください」
「そうですね。この民事訴訟はご存知ですね?その先生は別におられますが、今回は先に刑事訴訟をということになって私が担当しています。辞められて会社との接触は?」
「全然ないです。ようやく解雇理由書が着き労働審判の申し立てをするところです」
「実はホテル所有の社長と原告が和解するという話まで行ったのですが」
「それがベストだと思います」
「ところが話し合いの後被告側が和解交渉を暴露し怪文書をホテルや取引先に送り始めたのです」
その怪文書を何枚か拡げて見せてくれます。
「被告は原告とホテルの社長と専務のあなたが乗っ取りをしようとしたと攻撃しています」
「まさか」
呆れました。
「それで逆に被告が相手の会社に不正な会社分割をしたり無断で株の引き取りをしたと訴えたわけです」
なるほど、ようやく刑事達の言っていることが理解できました。
警察は原告、被告双方を疑っているようです。
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