三男の進歩と周囲への静かなる怒り

最近、引きこもりだったアスペルガー症候群の弟が地元のバックアップもあって数時間の短い仕事ですが働くことになりました。

何もやりたいことがなかった彼が、はじめて「やりたい」と思えた仕事が見つかったためです。

支援していた側は、喜びました。私も安堵しています。

しかし、かかりつけの医者や、祖父母など、「認めにくい」とか、「今の時代中卒で」と、反対する人間もいました。何事をするにも反対する人間というのはいますが、私はこれに静かなる怒りを覚えていました。


絶対に口にはしませんが、「老いぼれどもが」と、心の中で吐き捨てるように見ている自分がいます。これは、仕方のない事です。

何もやりたくないと言っていた人間が、「やりたい」と自分の意思で動いたことを、なぜ喜べないのか。悲しい事です。反対する人間にどんなプランがあったのかは知りませんが、実際に動いていた母親や地元の自治体の支援者の皆様が、当事者です。当事者でない人間が、どう弟の人生の責任をとるのでしょうか。野次を飛ばすのは勝手だとするならば、それに対して怒る自由も私にはあります。


はっきり申し上げて、そういう人は”世間体”のことばかり考えて、弟の人生のことを考えているようには思えません。もしくは単純に、弟の事をよく知らないかです。知らないのであればなおさら、偉そうな口をきくな、と思ってしまいます。この手の人間に対して私は強い侮蔑の感情を抱いてしまいます。お前らに何がわかる、と感じます。


もう、その人たちの時代は終わりました。

今を、未来を生きる人である私は、せめて自分の周りにいる人間は守ります。

と、少し感情的なことを書いてしまいましたが、こういうどうしようもない人間と私が正面衝突すると、彼らの人生を全否定してしまうのでやはり私は沈黙を保っといたほうがよさそうですね。その三男に「言葉で人が殺せる男」と評されてしまった私の怒りは、そっとしまっておきましょう。強い理性の中に。


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