隠者の店捌き
隠者君とのバイトでのやりとり。
お互い理論派、あまり多くの言葉を交わすことはない。
そしてお互い厭世的で社会に出る気がない。
今日は隠者君と、パンの割引担当のお婆ちゃん(ケガ明け)の三人。
隠者君は勤務してそこまで月日がたっておらず、必然「万全の態勢」で動けるのは私だけという日でした。
私の職場は大きな店で、私の部門には三つの「拠点」があり、一人一人に「持ち場」のようなものがあってそこの商品を出したり整理したりするんですが、お婆ちゃんがケガ明けということもあり仕事がかなり遅く、持ち場の一つが崩壊寸前、さらに隠者君も慣れておらず持ち場が維持できない有様。閉店後、特に締め作業(売り出し中の旗を下げたり等々)が忙しいんですが、隠者君と私は絶妙な連携でこれを切り抜けます。
「さて、隠者君、相談があるのですけど」
「なんでしょう?」
「各個撃破、やりませんか?」
「やりますか」
と、短いやり取りですが片方が自分の持ち場を離れて、一つの拠点を二人体制で動かしていくという作戦を取ります。隠者君と二人の時はよくとっていた作戦でした。さながら戦を指揮する武将になった気分のエッフさん、効率をよくしたい隠者君、二人の連携は凄まじく見事にほぼ残業なしで終わらせ、さらにお婆ちゃんの援護も完遂して帰るというプレーをやってのけました。
仕事が終わり、帰る道すがらにも、
私「もっとミーティングを簡潔にできないもんなんですかねぇ」
隠「綺麗に並べてほしいと言いますが、どこからを綺麗と定義するのかをはっきりしてほしいですね」
私「ごもっとも。やれやれ、大企業という割にガバガバで困ります」
隠「全く。ちゃんとやってほしいのかどうかわかりませんね」
と、ここだけ人間界を見下ろす仙人か宇宙人の会話のようで、大変面白かった。
「うなぎ」の回でウルトラセブンみたいなことを心の中で言っていた私ですが、もしかして隠者君も僕もウルトラマンだった・・・?
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