第109話 海底神殿

 デンガーナの街の東にある、工房区域。

 そこにドワーフの工房があった。


 勇者の装備があるという海底に行く為には、アクアペンダントが必要で、そのアクアペンダントを作る為、俺達はドワーフの工房にやってきたのだった。


「たのもう! 突然で申し訳ないのじゃが、工房を貸してもらえんじゃろうか?」


 アーナを先頭に、俺達は工房へ入る。


「なんでい、いきなり……ってこれはこれはプリム様!? なぜこの様な場所に?」


 近くに居たドワーフのおっさんが、この国の姫であるプリムを見て驚いていた。


 まあ、いきなりお姫様が現れたらそりゃあ驚くよな。


「失礼します。実はこの工房を、こちらのアーナさんに貸して頂きたいのです」


 プリムがそう言って頭を下げる。


 ドワーフのおっさんがそれを受けて、アーナを見る。


 しかし、その表情は良くはなかった。


「こいつに、ですか? こいつは……エルフ、ですよね?」

「うむ! エルフとお主らドワーフの混血じゃ!」


 アーナがそう答えると、ドワーフのおっさんの表情はさらに険しくなった。


「悪いですがお断りさせてもらえませんかね? エルフというだけでもアレなのに、わしらドワーフとの混血だなんて汚らわしい存在を、ここに入れたくはないんですよ」


 汚らわしい、か。


 なんとなくそうじゃないかと思ってはいたが、やはりこの世界でも、混血とかそういうのは歓迎されていないみたいだ。


 それもドワーフとエルフは仲が悪いと聞いている。


 このドワーフのおっさんの反応は、この世界ではまともなのかもしれない。


 だけどそれでも、アーナを汚らわしいと言ったこのおっさんに、俺は腹が立った。


「おっさ」

「今の言葉、即刻訂正してください」


 俺がおっさんに食ってかかろうとしたその時、プリムが俺の前に出た。


「アーナさんは私の旦那様である、リクト様の婚約者です。つまり私の家族でもあるのです。そのアーナさんに対する今の言葉を、即刻訂正して下さい!」


 プリムが怒っていた。


 アーナと婚約する事になったのはついさっきの事だ。プリムと出会ってからも、まだ1日経っていない。

 そんな状況にもかかわらず、プリムはアーナを家族と言い、そして怒った。


 そんなプリムを見て、ドワーフのおっさんの顔が青くなる。


「も、申し訳ありません! プリム様のご家族であったとは、いやすみません! その、そういう事であれば……親方に話してきます」


 ドワーフのおっさんはそそくさと奥に引っ込んでいった。


 そして親方と思われる、ひとまわり大きなドワーフが出てきた。


「若いもんが失礼した。工房は使ってもらって構わない。だが、わしらドワーフがエルフやその混血を嫌っておる事は変えられん。そこだけはご容赦頂きたい」


「……そうですか、わかりましたわ。それならこちらにも考えがあります……リクト様!」


 プリムが俺の方に振り返り、俺の名を呼んだ。


「ゴッドフラッシュを使ってください。この方達に、種族の差など些細なものである事を、教えてあげて欲しいのです!」


 プリムがビシッとドワーフ達を指差した。


 人を指差しちゃ駄目だぞプリム。なんて思ったりもしたが、ここは黙って従う事にした。


 それほど、先ほどの怒ったプリムに俺は感動していた。


 俺ですらアーナが家族というのはまだまだ実感がなかったのだが、プリムはすぐさま怒ったのだ。

 家族であるアーナへの言葉に対して、素直に怒れるプリムに、俺は感動した。


 だからプリムの言葉に、素直に従ってみる事にした。


「ゴッドフラッシュ!」


 俺は尻を光らせる。


 ピンク色の光は工房を、あたりを激しく照らした。



「う、うおおお!?」

「なんんだこの光は!」

「親方! 親方あああ!」

「な、なんて光だ! 心が、心が洗われていく! あああああ!」


 ドワーフ達が光のまばゆさに目をくらませる。


 そして光がおさまると、ドワーフ達はその目から……涙をこぼした。


「う、ううっ! 俺達は、なんておろかだったんだ」

「ああ、あの光の前では、全てが等しい。ドワーフだエルフだなんてこだわってた自分が恥ずかしい!」

「親方ぁ! 工房、貸してやりましょうよ! あいつは俺達の血も流れてる、仲間じゃないか!」

「ああ、そうだ、そうだよお前ら! 俺達はみんな仲間だ!」


 ドワーフ達がお互いを抱き合う。


 そんな姿を見て、ユミーリア達が感動していた。


 俺はというと、なんで俺の尻の光でそこまで感動できるのか、そして屈強な男達の抱き合う姿が気持ち悪いとしか思えず、ひとり冷めた目で見ていた。


「すまなかったな、どうやら俺達の心の目は汚れていたみたいだ。あの光で目が覚めた。ありがとうよピンクの兄ちゃん。アーナとか言ったな? 俺達の工房は好きに使ってくれ。何か手伝える事があればいいな。これからは、お前は俺達の仲間なんだからよ」


 親方の言葉に、アーナがポカンとしていた。


 しかししばらくして、その意味を理解したのか、困った様な表情で笑った。


「ま、参ったのぉ。まさかこんな展開になるとは思わなんだ。リクト、お主は本当に……すごいんじゃな。ちょっと惚れ直したぞ」


 アーナがそう言って、工房の奥に入り、準備を始めた。

 ちょっと顔が赤かった。


 いつもこれくらしおらしければ可愛いのにな、と思ったのは秘密だ。


 それにしても、さっきの俺はガラにもなくかなり怒っていた気がする。


 プリムが前に出てくれなければ暴れていたかもしれない。


 それくらいは、アーナの事を、大事に思っているってわけか。


 いざとなってみてわかる事もあるんだな。


「ところでプリム、お前どうして俺の必殺技の事を知っているんだ?」


 プリムはハッキリと、ゴッドフラッシュを使ってくれと俺に頼んだ。

 つまりはだ、俺の技を把握しているという事だろう。


「将来の旦那様になる方の事でしたから、色々な情報網を使ってリクト様の事は調べましたよ? ゴッドヒール、マイホーム、レア肉ドロップ確定に、ランラン丸様との融合、桃尻波(ももしりは)、桃尻メテオ、桃尻蹴(ももしりきゃく)、天使のケツ、爛々斬結衝(らんらんざんけつしょう)、爛々二重斬(らんらんにじゅうざん)、爛々百烈斬(らんらんひゃくれつざん)、竜我天聖(りゅうがてんせい)、シリブレード、そしてゴッドフラッシュ」


 プリムが俺の使える技を羅列する。


「リクト様はたくさんの技をお持ちですわよね?」


 ニッコリと笑っうプリム。


 ちょっと怖い。どこまで俺の事を知っているんだこの子は?


 俺は若干ひいた。色々な情報網ってなんだよ?


「リクト様の事はなんでも知りたかったのです。残念ながらキョテンの街に来るまでの事はわかりませんでしたが、キョテンの街に着いてからリクト様の事なら、ほとんど把握していますよ?」


 ぷ、プリムって、ストーカーだったのか。


 いや、考えてみればプリムが出てくるゲーム、ロイヤルぱにっくは相手やステージによって武器や衣装を変えたりして攻略していくゲームだ。


 つまり、事前情報が大事なのだ。

 事前にステージや敵の事をしっかり調べて攻略していくのがゲームの肝だ。


 その攻略性が、こういう性格になったってわけか。


 なんという恐ろしい子。


 クスリと笑うプリムは、とてもコルットと同じくらいの年齢とは思えなかった。コルットとは違う意味で怖い。


 幼女怖い。この世界の幼女はどうなっているんだ、幼女怖い。



 俺がプリムの情報網に戦慄している間に、アーナは、張り切って人数分のアクアペンダントを作っていた。


 エルフの魔法にドワーフの技術。


 その結晶は、とても美しかった。


 ドワーフ達も遠巻きに見て、感心していた。


 俺は出来上がったアクアペンダントを手にとる。


 銀色のあざやかな細工に、中心には青い宝石が飾りつけられている。

 見ていると青に吸い込まれそうだった。


「これがあれば、海底に行けるんだな」

「うむ、そのはずじゃ!」


 アーナが人数分のアクアペンダントを作り終え、グーッと背伸びする。


 そらした胸は、とても大きかった。



 俺達は親方に礼を言って、工房を後にする。


「おい、ちょっと待ってくれ」


 だがその時、親方が俺達を止めた。


「その、すまなかったな。エルフとドワーフの混血の女よ……名前は、なんという?」


 アーナがピタリと止まり、親方の方を振り向いた。


「ふっ、わしか? わしはな……わしじゃよ!」


 アーナは自身を指差して、そう答えた。


「そうか、そいつがおまえさんの生き方か……何かあったらいつでもここに来い。工房くらいはいつでも貸してやる」


 そう言って、親方は工房の奥へ戻っていった。


 他のドワーフ達も、アーナに向かって、ペコリと頭を下げた。


 どうやら、アーナの事を認めてくれたらしい。


「リクトよ」

「うん?」


 アーナが俺に話しかけてきた。


「こんな日が来るとは思わなかった。一生、ひとりで生きていくものだと思っていた。わしは、お主の嫁になって、本当に良かったぞ!」


 まだ嫁になったわけじゃないんだけどな。


 それでも俺は、すでにアーナを認めた事を自覚した。


 俺はもう、アーナをひとりには出来ないだろう。


「マイホームの2階にさ」

「うん?」

「アーナの、部屋がある。個別の部屋だ。俺の嫁にならないと出来ないものだから、感謝しろよ」


 俺はそう言って、アーナから目をそらした。


 なんか、無性に恥ずかしかった。


 そうやって目をそらしていたから、アーナの目から涙がこぼれ、満面の笑みを浮かべた事に、俺は気付いていなかった。



 俺達はアーナの作ったアクアペンダントを胸に、勇者の装備がある、西の海へと向かった。


「それで? このまま海に入るのか? ビショビショになるんじゃないか?」


 俺達は海の前で立ちすくんでいた。


「うむ、まずはリクトよ、わしらの船、ピーチケッツ号を出してくれ」


 俺は後ろを向き、ピーチケッツ号出ろと念じる。


 すると俺の尻が光り、プリッと軽快な音が鳴って、尻から船が出てくる。


「ぷっ! ぷぷぷ……って待ってほしいでござる! 笑うなという方が酷でござるよぉ!」


 懲りずに笑おうとしたランラン丸を、海に捨てようとして振りかぶった所で、ランラン丸が必死にすがりついてきた。


「いや、捨てられたいのかと思って」

「こんな絶対に笑ってはいけないお尻芸とか、難易度高すぎるでござるよー!」


 誰が尻芸だ、まったく。



「それで? 船を出したはいいが、どうするんだ?」


「うむ、まずこうするのじゃ!」


 アーナは船首にアクアペンダントを引っ掛けた。


 すると船がぼんやり光り、船の周りに薄い膜(まく)の様なものが現れた。


「海や水に触れるとこの様に膜が出来るのじゃ。この膜のおかげで、海の中でも呼吸が出来て、水圧やら何やらを防いでくれるのじゃ」


 なるほど、確かにこれは便利だ。


 このまま船で海の中へもぐっていけるってわけか。


「さて、それでは出発じゃ! わしに続けー!」


 アーナはご機嫌だった。


 相変わらずウザかったがみんなが笑っているので良しとした。


「フッフッフ! この船に引っ掛けたアクアペンダントに、こうして魔力を注ぎ込むと……」


 船がゆっくりと進み始める。


 そして、海の中へと沈んでいった。


 浮力とかどうなってるんだ?


「さあみんな、海の中に入るぞ! 多分大丈夫じゃが、一応覚悟せいよ!」


 多分ってなんだ多分って!


 俺は心配になってきたが、すでに船に乗り込んだ今となっては手遅れだ。


 船が沈んでいき、足元から海面が上がってくる……事はなかった。


 船の周りの膜が、海水の浸入を防いでいた。


 呼吸も出来るし目も開けていられる。


「な、なんかすごいな」


 船はどんどん海底へと沈んでいく。


 そして、ゆっくりと前進していた。


 前から魚達が向かってくるが、全て船を避けるように泳いでいった。


 これもアクアペンダントの効果なのだろうか?


 やがて進行方向に、大きな神殿が見えてきた。


「あれが、海底の神殿か?」

「はい、私も見るのは初めてですが、そうだと思います」


 プリムがさっきからソワソワしている。


 コルットを見ると、海の中という状況に、とてもうれしそうにはしゃいでいた。


「プリム」

「なんですか?」


 俺はプリムの頭を撫でる。


「サポートしてくれる時はしっかりしてくれているとうれしいが、それ以外の時はコルットと同じ様に遊んで来い。俺はプリムには、コルットの様に無邪気でいて欲しい」


「あう」


 はしゃぎたかったのがバレてしまったプリムはバツが悪そうだった。


 だが、コルットを見ていると我慢出来なくなってきたのか、俺に頭を下げてコルットの元へ走っていった。


 プリムはコルットと二人で、海底の景色に目を輝かせていた。


「よろしいのですか?」


 マキがそっと俺の隣に立つ。


「しっかりしているのは良い事だと思うけど、ああしてコルットと楽しそうにしているのを見ると、な。常に気を張っているのも大変だろうから、こういう機会には思いっきり遊んで欲しいと思う」


 お姫様という重責もあるのだろう。


 プリムは明らかにしっかりしすぎている。元々の性格もあるのだろうが、俺の前で無理はしてほしくない。


「リクト様……」


 マキが俺にもたれかかってきた。


「私も、最近ちょっと無理をしていて、そろそろリクト様のお情けが欲しいな、と」


 マキはそう言いながら、俺の服の中に手を入れてくる。


「いいいい、いやいやいや! 嘘だろ、絶対嘘だろそれ!」


 俺はマキから逃げ出した。


 相変わらずマキはエロ特化だった。



 マキのエロ攻撃を避け続け、俺達はついに海底神殿へとたどり着いた。


「ここに、勇者の装備があるのか?」


 アテネ辺りにありそうな、石で出来た神殿だった。


 石の円柱がたくさん並んでいて、奥はよく見えない。


「わしはここで船を見張っておるから、気をつけて行ってくるのじゃぞ」


 戦えないアーナは居残りだ。


「アーナひとりでは心配だからな、私も船に残ろう」


 エリシリアも船に残る事になった。


 人数が増えるとこうしてメンバーを選べるのが良いな。


 ちょっとRPGっぽくて俺はワクワクした。



 俺、ユミーリア、コルット、マキ、プリムの5人は船から降りて、神殿へと入る。


 神殿の中は、船と同じ様に結界の様なものが張られており、中に水が入ってこない様になっていた。


 もっとも、何があるかわからないからアクアペンダントは外せないがな。


 俺は首からさげたアクアペンダントをそっと撫でた。


 神殿の奥には、これまでにも見た事がある、文字が刻まれた大きな岩があった。


「リクト、これって」

「ああ、今までと同じ様に、初代勇者のシリモトが出てくるんだろう」


 これまでと同じ展開であれば、ユミーリアが岩に触れた瞬間、岩に刻まれた文字が光って初代勇者の残留思念が出てくるはずだ。


 ユミーリアは意を決して、岩に触れる。


 刻まれた文字が光りだし、ボンッと音と共に煙が出る。


 煙がおさまると、中から不細工なウサギの顔をした鳥が出てきた。


「まあ、可愛い鳥さん」


 プリムがつぶやく。


 なんだよ、なんで俺の事をカッコイイって言う子はこの不細工なウサギ鳥を可愛いって言うんだよ。それじゃあまるで俺が……


「いやぁ、プリム殿も趣味が悪いでござるなー」


 俺はランラン丸を、そっと地面に捨てた。


 何かわめいているが聞こえないフリをする。


「リクトー、ランラン丸がかわいそうだよ」

「あれくらいで丁度良いんだよ」


 ユミーリアがランラン丸を見るが、気にしない。

 俺はランラン丸を放っておいて、話を進める事にした。



「よくぞきた、勇者よ! ここまでの旅路、さぞ大変であったろう!」


 不細工なウサギの顔をした鳥……初代勇者の残留思念であるシリモトが、こちらに語りかけてくる。


「まさか海底に勇者の装備があるとは思わなかったじゃろう? そして、ようやく見つけたかと思ったら神殿が海底にあるせいで苦労したじゃろう。特に必須アイテム、アクアペンダントを手に入れるには大変な苦労をしたはずじゃ」


 ほう、今回はチャート通りにこれたのか。

 今まではほとんど反則みたいなもんだったからな。


 まあ、アクアペンダントを手に入れるのにはさほど苦労しなかったけどな。

 アーナが居たおかげで、エルフとドワーフの協力とか、必要なかったし。


「さて! 早速じゃが、お主に勇者の装備を与えよう!」


 シリモトが叫ぶと、天井の岩がパカッと開き、上からゆっくりと、かぶとが降りてきた。


 かぶとはユミーリアの顔におさまった。


「これが」

「ゆうしゃのかぶと?」



 一方、俺はというと、またしても尻が光っていた。


「今度は、何が起こるのでしょうか?」


 マキが俺の光る尻に注目する。


「楽しみですね、コルット様」

「うん! おにーちゃんのお尻、楽しい!」


 コルットとプリムは俺の尻を見て、ワクワクしていた。


 いや、楽しまれてもなぁ。


「リクト殿」


 地面に捨てたランラン丸が話しかけてくる。


「拙者、次こそは絶対に笑わないでござるよ!」


 ランラン丸が強く宣言する。


 なんか、早くもオチが見えた気がするぞおい。


 俺の尻が強く光り、やがて尻の光はだんだんと消えていった。


 尻の光が消えた時、奇跡は起こった。



 ジャーーーーー



 水が漏れる音が聞こえた。


 いったいどこからだと見てみると、俺のお尻から水が出ていた。


「おにーちゃん、おもら」

「コルット様、いけません」


 マキが急いでコルットの口を手で隠した。


 だが、聞こえてしまった。


 そうだ、今の俺はまるでお漏らし状態。


 尻からジャーと水が溢れ出してきている。



 俺は、静かに涙した。


 まさかこの歳でお漏らし状態になるとは……ちくしょう。



「ヒーヒッヒッヒ! あーーーはっはっは! お、おもら、おもらしとか! アハハハハ! 滝の様な汁が! し・る・が! 出てきているでござるー! アハハハハ!」


 俺はおもむろに、地面に落ちたランラン丸の上にまたがった。


「り、リクト殿、何を!?」

「くらえ」


 ランラン丸の上に、俺の尻から漏れた水が降り注ぐ。


「ひいいいいいやああああああ! やめて! そのリクト汁やめて! だめ! 濡れちゃう! いやあ! ら、らめえええ!」


 ランラン丸が叫び、誰もがその光景から目をそらした。



 俺の尻から降り注ぐ水が、刀であるランラン丸を、静かに濡らしていた。



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