通りかかって、ちょっと暖簾をくぐってみたら、最初の1行目から面白すぎて、うっかりすると作品の奥深くへずるずるずると引き込まれてしまう。……そんな、なんとも不思議で強烈な個性を持つ作品です。
ただの面白いギャグではありません。物事の真理や、現実の切なさが、非常に鋭く切り取られ、ごく自然な流れで混ぜ込んである。それにも関わらず、それをぽいと放り投げて終わる、そんな絶妙な笑いのバランス。これはたまりません。
ぜひ、暖簾をくぐってみましょう。例えて言うなら、踏み込んだ場所はお店ではなく宇宙だった……そんな、とんでもなく強烈な空間を覗かせてくれる、大変個性的な作品です。
初見で私は「あかん、これは人類には早すぎるヤツや」と数話読んだところでそっと閉じてしまった。
それからしばらくして話題になっているので再び挑戦。ナチュラルに頭おかしい(褒め言葉)あかんと再度断念。
しかし、この作者の頭のなかはどうなってるのか?と他のものを読んでみる。
『鮭さんのエッセイ』は普通だった。普通に面白かった。
いや、もしかしたらこのあたりで染まり始めていたのかもしれない。
ショートショートに戻って来てタイトルで気になった『人間はコップか』を読む。これまた普通に面白い。
ここから不思議なことが起こる。
ショートショートを頭から読み直してみたら面白いのだ。
シュールさに耐性がついても相変わらずシュールだった。
だが、忌避感はなくなり楽しめるようになっていた。
さぁあなたも読みなさい。いずれ慣れます。
そしてきっと楽しくなるはず(洗脳済み)