お留守番
たかしくんはお留守番をしています。
「帰ったわよー!!」
お母さんが帰ってきました。買い物から帰ってきました。これではお留守番が終わってしまいます。一生懸命お留守番していたのに。
「帰って来ちゃダメだー!!お留守番しているんだー!!」
たかしくんは叫びます。子どもらしくて可愛いです。
「お母さんがお留守番しててって言ったのにー!!帰って来ちゃダメじゃないかー!!」
口を大きく開けて叫びます。
「ふざけんなー!!帰ってくんなー!!」
可愛い。可愛い。お母さんはにっこりして言います。
「お留守番ってのはね、お母さんが帰ってくるまでがお留守番なのよ。うふふふふ。」
愛のある眼差しでたかし君をみています。
「へええ、そうなんだ。じゃあお母さんが帰ってくるまでに何したらお留守番じゃなくなるの?」
たかしくんは問いました。まん丸おめめをキョロキョロさせています。
「うーん、そうねぇ。家から出たりしたらダメなんじゃない?お家の中にいたらお留守番成功よ。」
少し悩んでお母さんは答えました。
「へえー。そうなんだー。じゃあ自殺したらー?家の中で自殺したらどうなのー?」
たかし君は再び問いました。もっともな問いです。
「うーん、、、、うーん、、、うーーん、、、、。」
どうやら難しい問いだったようです。お母さんは悩んでいます。腕を組んで、難しい顔をしています。
「うーーん、、うーん、、うーーーん。どうなのでしょう、うーん、、うーーん。」
腕を組んでじりじり、じりじり。
「うーん。お母さんにはわからないわ。お父さんに聞いてみましょう。」
トゥルルルルー、トゥルルルルー
ガチャ
「あ、もしもしお父さん。留守番中に自殺したらそれは留守番なの?ねぇねぇ、、うん、、、うん、、あ、そうなの、、わかったわ。ありがとう。ええと、たかし、自殺したら留守番じゃないそうよ。家のお手入れとかできなくなるでしょう。だから自殺したらお留守番じゃないんですって。」
お母さんはにっこりして言いました。青ざめるたかしくん。
「ええー!!それは大変だ!!さっき弟のたかおが自殺したんだよ!!」
たかし君が言いました。焦っているよう。
「なんですって!!お留守番しててって言ったのに!!たかおー!!」
ドカドカドカドカ、ドカドカドカドカ
土足で家の中に侵入するお母さん。奥の部屋に行くと、たかおが自殺していました。
「たかおー!!お留守番しててって言ったじゃないのよー!!」
ムキーッ!!
怒ったお母さんはたかおの死体に火をつけました。
ボーボーボー、ボーボーボー
「ほらっ!!逃げるわよ!!」
お母さんはたかしの手を取り外に出ます。
「ああー!!せっかく僕がお留守番した家がー!!」
たかしは燃え盛る家を見て泣き叫ぶのでした。
完
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