砂漠人間たかし

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 広大な砂漠に一人、男が佇んでいる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 なんなんだ。なんなんだ。あいつは一体何なんだ。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「私は、砂漠人間たかしです。」


 砂漠人間たかしである。世にも珍しい、砂漠人間なのである。

 

「珍しいねえ。砂漠人間なんて、今時ねえ。」


 おばあさん、たかこが遠い目をして話しています。


「私が小さい頃なんて、当たり前のようにいたのよ。砂漠人間。それが今じゃ滅多に見ないわ。砂漠人間、砂漠人間。」


 流石おばあさん。いろんなことを知っていそうです。


「聞かせてください!!おばあさんの小さい頃の話!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ


 砂漠人間たかし、すごい剣幕でおばあさんに詰め寄ります。おばあさんはふふっ、含み笑いを浮かべ、語り始めます。


「あれは私がね、まだ若かった頃、そうね、確か20歳くらいのことだったわ。」


 懐かしそうに語り始めます。


「うん、そう。20歳くらいかしら。私が川で洗濯をしているとね、カマキリが私の横を通り過ぎて行ったの....。そして川に突っ込んいったわ....。暫く見てるとね、中から白い線みたいな、寄生虫が出てきてね、泳いで行ったわ。」


「砂漠人間の話をしないかーっ!!」


「ヒーッ!!」


 スタタタターッ!!


 おばあさんは走って逃げて行ってしまいました。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 今日も広大な砂漠に一人、男が佇んでいる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 砂漠人間たかし、end.

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