さいばこ

 さいばこ(サイバー攻撃)を受けました。


 やべー!!やべー!!いろいろ流出しちゃったよお!!


 やべー!!やべー!!


「何が流出しましたか?」


 妻が聞いてきました。困りました。なぜなら妻の恥ずかしい写真も流出してしまったからです。


「ええと、それは企業秘密なので答えられません。」


「ええ、個人なのに企業秘密なの?」


「いえ、では個人秘密です。」


「わかったわ。個人秘密なのね。了解しました。了解。了解。」


 妻は、了解しました。物わかりのいい妻。


 ガチャリ


 部屋を出ていく妻。すげー!!

 さあてと、さいばこの出自を探っていきます。どこから生まれてきたのかな。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 ん、、、近いな。この建物に。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 え、この家の中?おかしいな。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 ん、、、、、これは、、、妻?ええ、そんなそんな、、、、、。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 やはり妻。妻からだ。もっと細かく。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 妻のお腹。お腹の中だ。妻のお腹の中から。そんなことなんてあり得るのか?ん、何かファイルが送られてきてる....。


 カチカチカチカチ、カチカチカチカチ


 ん、なにやらメッセージ.....。なになに....。


『Help Me!!』


 デデーーーーンッ!!


 大変だーーーっ!!何者かが助けを、助けを求めているーーーっ!!今すぐ手術を行わなければ。


 タタタタターッ!!


 階段を、駆け下ります。


「ちょっと!!妻!!」


「なあにい?」


 とぼけた顔で振り返る妻。可愛いなあ。


 ズギューーーーーン!!麻酔銃、ズギューーーーーン!!


「あれえ、、。」


 バタンッ


 ソファーに横たわる妻。


「只今より、オペを開始する。」


 包丁で、腹を裂きます。さっさっさっ、さっさっさっ。


 どこだ!!どこにいるーー!!今助けてやるぞー!!助けてやるぞー!!


 ササササーッ!!ササササーッ!!


 ぷ〜ん、、ぷ〜〜〜〜ん。


 蚊。蚊が出てきました。妻のお腹の中から、元気な蚊が出てきました。元気、元気。


「そうか。お前だったのか。」


 ああ、すごい蚊もいるものだなあ。今年も夏がやってきたのです。


 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る