ネジ

 ネジの前で立ち尽くす人々。


 ネジ様、ネジ様、今日もありがとう。固定してくれてありがとう。ネジ様、ネジ様、ありがとう。固定してくれてありがとう。


 ネジは偉大だ。固定してくれるから。


「明日も固定して下さい。よろしくお願いします。」


 明日になった。明日になってもネジは固定している。ネジ様ネジ様ありがとう。固定してくれてありがとう。人々は感謝した。


「ああ、今日もネジ様は固定して下さっていたな。」


 隆くんが言いました。


「ほんとだね。あ、でもあのネジ、なんだか錆び付いているぞ。」


「あ、あれはね。螺子のおじいさん、ねじいだよ。」


「へえ、ねじいかあ。」


「錆びたものは交換しなきゃってお父さんが言ってたよ。」


「へえ、じゃあねじいはさよならかな。」


 さようなら〜さようなら〜


 みんなで合唱、さようなら〜。


 さようなら〜。さようなら〜。


 さようなら〜。さようなら〜。


 さようなら〜。さようなら〜。


 さようなら〜。さようなら〜。


 さようなら〜。さようなら〜。


 さようならの大合唱。美しい青少年の透き通った声。


 のっそのっそのっそ


 太ったおじさんが奥から出てきた。


 ネジネジネジネジ、ネジネジネジネジ


 ポイッ


 捨てられた、ねじい。


 ありがとう ありがとう


 ありがとう ありがとう


 ありがとう ありがとう


 ありがとう ありがとう


 青少年たちは涙を流し、歌いながら感謝するのでした。


 夕食はネギを食べました。 

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