ヒューマンエラー

作者 碧咲瑠璃

21

8人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!

読み終わった後、本作品の総文字数を目にしました。
およそ10万文字。

えっ。目を疑いました。
なので念のため、もう一度確認します。
ですが数字に変化はありません。
およそ10万文字。数字は正直です。

ということは、つまり。
10万文字に、これだけの内容が収まっていたというの……?

仮想空間、様々な軍事兵器(本当に様々)、AIとの戦争、人類の終幕等々、作品内はSF的要素(と私が勝手に思っているもの)に満ち満ちており、SF初心者の自分ですが、存分にその世界を楽しむことができました。

個人的に特に印象に残ったのは、仮想空間における戦闘の描写と、自称(?)〝人類の献身的な妻〟のキャラクター性でした。

前者は圧巻の一言。目に浮かぶとは、まさにこのこと。それも頭の中で作った映像ではなくて、直接〝ダイレクト〟に目に浮かぶのです。なんという表現をされるのでしょう……。

そして後者は……。

どうぞあとは、この後者のことも含めて、ご自分の目でお確かめください。

キカイひしめく、ヒトのセカイが、そこに待っています。

★★★ Excellent!!!

 人工知能が力をつけ、人類に対して殲滅戦を仕掛けてきている未来の世界。人と機械との戦闘は、電脳世界と現実世界での両面で熾烈を極めていた。人は攻め来るマシンに対して必死に抗うのだが、そのためには機械の力を借りねばならないという矛盾を抱えている。
 全編戦闘描写で埋め尽くされるようなミリタリーSFだが、現実でも電脳でも、兵士たちは極限まで機械化され、生物なのか機械なのかの境界も曖昧な戦闘マシンとなっている。そのうえで仮想現実の甘美な思い出に浸り、人工知能によって作られたキャラクターたちに愛を感じ、徐々に破滅へて突き進んでゆくのだ。

 とにかく良質なSF作品というのはなかなか無い。ロボット三原則や銀河帝国などのアイディアを生み出したアイザック・アシモフは、稀代のSF作家にして、推理小説からエッセイ、科学解説書まであらゆるジャンルで作品を残した大作家だが、そのアシモフですら、「SFが一番難しい」と語っているくらいだ。

 本作はまず奇天烈な未来世界を構築し、その中で行われる戦闘を必要最低限の描写で見事に表現するという離れ業を全編に配するSF小説だ。陳腐になるギリギリで寸止めされるSF的スラング、カタカナたった数文字のルビで表現される戦闘機械のビジュアルは、神業に近い。

 そして怪異で甘美な未来世界。つぎつぎと解き明かされる謎、生臭い人間ドラマ。合間に挿入される男女のエロティシズム。機械に浸食される人間のグロテスクな姿。あの手この手を使って表現される未来の世界の、人、機械、現実、そして仮想。読んでいて、まったくダレるパートが一切ないのも凄い。そしてその描写を、一切乱れることなく安定して、冷静に書き切る筆致は、たしかな実力に裏打ちされたものだろう。ここまで書ける人は滅多にいないが、それ以上にここまて安定して書き続けられるのも凄い。

 公募に出すようなので、なにか気の利いた指摘を…続きを読む

★★★ Excellent!!!

重厚な世界観と、読みやすい文章なのに世界観の重さを表現できる安定した文章力が魅力です。
世界観、設定、文章力、展開の切なさ、それらのバランスがとても良くてどんどん引きこまれていきます。
内容もキャラの会話も『大人の物語』です。

★★★ Excellent!!!

本作者様の作品は、他に2作読みましたが、どれもこれも読み手を引きつける術に長けており、読み出すと、のめり込んでしまいます。

夏季休暇などの大型連休中に、楽しみながら読むのに適した物語だと思いました。

今作は7/10現在、刹那的な状況の中、希望を見出すのか、それとも……というような状況ですが、まだ二転三転ありそうな気配なので内容や最終的な感想については先延ばしとさせていただきます。
(完結後、追記として書ければと思います)

7/16追記
完結されましたので、感想を書かせていただきます。

初めて私がSF小説を読んだのは小学校高学年の頃。
図書館から借りたそれは、今はもうタイトルすら覚えていませんが、人類と異星人との戦いを描いた物だったと、薄っすら記憶しています。

機械のロボットや幻想兵器、宇宙艦隊など、大凡今のSF小説と変わらない世界がそこにはありました。
その頃から今まで、小説の中では時代が動いていないという事でしょうか。

そして近年、少しだけ動いたと言えばサイバーティック要素が出てきた事だと思います。

昔はコンピュータの普及率も今ほどではなく、一般的な物では無かったし、どう使うかを想像できなかったので、その当時の小説に、この要素が少ないのは当然ですね。

このサイバー要素というのは、なかなか曲者で、今の世にあっても解らない人には解らない要素であり、解る人であっても想像力をフル稼働させなければならない代物です。

それは読む側だけではなく、書く側も然り。

特に書く側は、その魂を削り、物語の独創性を追求し、エンターテインメント性を加味しなければならず、想像を絶する困難な作業を行っているといえます。

それによって作品として成功したのならまだ報われますが、失敗してしまうと目も当てられなくなる事でしょう。

本作はというと、プロローグからエピローグ手前まで、戦闘、…続きを読む

★★★ Excellent!!!

巧みな筆致で描かれる作中のSF描写はもちろん素晴らしいのですが、個人的にツボに入ったのはミリタリー要素ですね。
しかも敢えてアクションに振り切らず、理詰めで展開される状況描写はとても渋みがあり、好きな人にはたまらない魅力があります。
SF好きもそうでない人も、サイバーパンク等のキーワードにピンと来た皆様には是非、ご覧になって頂きたい一作です……!