看破

 王城と王城広場を囲む城壁の上で決闘の様子を眺めていた兵士が、同じく決闘を眺めていた相方の兵士に問いかけた。


「‥‥‥気づいたか? あの一刀」


「あー最後のアレ?」


 静かに問いかけた兵士に反し、問いかけられた兵士は何とも軽い口調で答えた。


 先程、アーロンの所持物検査を行った二人の兵士である。


「検査の時は気づかなかったけど、アレは間違いなく‥‥‥」


「いや、言うな。分かっているならいい。とりあえず今夜は私の部屋に来い。あの男をどう監視するかを決めるぞ」


「オーケイオーケイ。しっかし、いつも作戦会議のときは先輩の部屋だよねぇ」


「別にいいだろう。私はお前の言う通り、先輩なのだから。それどころか‥‥‥」


「はいはい、分かったよ。もう休憩時間も終わるし行こうよ」


「む、もうそんな時間か、行こう」


 そう言って、二人の兵士は静かに持ち場へと戻って行った。

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