第23話「決着」

「や、やったか!?」

 ミッチーが叫ぶが

「まだ終わりじゃないぞ。なんせあいつは」


「……来るわよ」

「ええ、来ますね~」

 地上に降り立ったマウとレイカがそう言った時



「……ふ、ふふ。まだ余は消えておらんぞ」

 姿形は最終形態のままだが、大きさがトウマ達と同じ位になったケイオスがそこにいた。


「うう、なんてしつこいのよー!」

 イリアが憎々しげに叫ぶと 


「よーし! 次は僕が!」

「なら僕も一緒に」

「オ、オラも」

 既に変身したニコ、ミッチー、ドンタが身構える。


「ふふ、来るなら来い」

「じゃあ、えーい!」

「ぬう!?」

 ニコがパンチの連打を食らわせ


「鳳凰一文字斬!」

 ミッチーが剣を振り下ろして衝撃波を撃ち

「え、えい」

「ぐあああああ!」

 ドンタが太陽の力でケイオスを攻撃する。


「ぐ、こ、これでもくら」

 ケイオスが反撃しようとするが


「させるか! イリア!」

「うん!」

 トウマとイリアは手を繋ぎ、それを掲げる。

 そして

「これで終わりだ、くらえー!」

 そこから光の剣が現れ、ケイオス目掛けて飛んでいき


「グアアアアアアアーーーー!」

 ケイオスの胸を刺し貫き、消滅させた。



「か、勝ったのか?」

 小次郎が誰にともなく尋ねる。

「……勝ったにゃ」

「ええ、そうですね~」

 元の姿に戻ったマウとレイカがそう言い


「や、やったあーーーー!」

 他の者達は歓声をあげた。



「ふう。やったな、イリア」

「そうだねー。やったね」

 そう言ってトウマとイリアが見つめ合った時


 ゴゴゴ……


 突如地面が揺れ出した。


「え、地震!?」

「い、いや、禍々しい気が溢れてくる?」


- フハハハハ。余はこの世界そのものでもあるのだぞ…… -

 何処からともなくケイオスの声が聞こえてくる。


「だからどうした? もうお前に勝ち目などないぞ」

 トウマがそう言ったが


- ああ、勝てそうもないな……だがら -


「だから? ……まさか」


- そうだ。余の、この世界のエネルギーを使い、貴様等と全ての世界を吹き飛ばしてやるわ -


「な!? そ、そんな事したらお前だって!」


- 構わぬわ。さあ、皆余と共に消えるがいい、フハハハハ…… -


 ケイオスの声が聞こえなくなると、地面が更に大きく揺れ出した。


「ト、トウマ! 今すぐ逃げようよ!」

「ダメだ。結界はまだ解けてないし、仮に逃げれたとしてもこの世界の人達はどうなる?」

「そ、そっか。ごめん」

 イリアは自分を恥じて謝った。

「いいって。しかしどうやって防ぐか……って、そうだ。忘れてた」

「ん?」

「皆、俺の剣に力を送ってくれ!」

 トウマが仲間達にそう言った。

「え、それでどうにかなるのー?」

「なるはずだ。勇者の、俺の最大奥義なら」


「わ、わかったよ。トウマさん」

 ドンタが

「は~い!」

 レイカが

「ええ、わかりました」

 マオリが

「うん、トウマお兄さん」

 ニコが

「信じているぞ、トウマ」

 小次郎が

「にゃあー!」

 マウが

「頼みますよ」

 ミッチーが

「よーし、やっちゃってよねー!」

 そしてイリアがトウマに向けて手をかざし、力を送った。


 すると剣が強く輝きだし、そして

「……受けてみろ! 聖光大集結一心剣!」

 トウマは叫びながら地面に勢い良く剣を突き刺すと 


- な、な……ギャアアアーーー!? -


 ケイオスの断末魔の叫びが聞こえ、地面の揺れが収まった。


「……あ、今度こそ?」

 イリアがおそるおそる尋ねると

「ああ。今度こそ、勝ったぞ」

 トウマがそう答えた。


「や、やったあああ!」

 全身が歓声をあげた。



 だがその時、皆が何かの気配を感じた。

「ん? 何だこの気は?」

「ま、まさか新たな敵?」


「違いますよ。私ですよ」

 そこに現れたのは

「あ、女神様じゃないですか?」

 トウマが彼女、女神見習いに話しかけた。

「私まだ見習いですよ。ってそれは置いといて。皆さん、ありがとうございました」

 女神見習いはトウマ達に向かって頭を下げた。

「いえいえそんな。あ、女神様がここに来れたって事は」

「ええ。ケイオスの意志が完全に消えたので、結界も消えました」


「そうですね。だって僕も」

 ミッチーの顔にあった呪いの傷が無くなっていた。

「にゃあー! やっぱ政彦そっくりだにゃあああ!」

 マウがガバっとミッチーに抱きついた。

「うわああ!? ま、また手と口だけの生殺しをー!?」

「にゃあ~、今度はスマタもしてあげ」

 ドゴオッ!

「話の腰を折るなー!」

 トウマはマウを思いっきりどつき倒した。


「え、えーと女神様、ケイオスが消えたならこの世界はどうなるのですか?」

 マオリが心配そうに尋ねる。

「大丈夫ですよ。世界そのものに影響はありません」

「そうですか、それはよかったです……けどケイオスさんも少し可哀想でしたね」

「……そうですね。彼もまた犠牲者でした」

 女神見習いは俯きがちにそう言った。


「女神様、勇者達。話は城に戻ってからにしないか? 王も心配しているだろうし」

 トラックロボが皆に声をかけた。

「俺達はいいけど、女神様は?」

 トウマが尋ねると女神見習いも首を縦に振った。


 そしてトウマ達は城へ戻った。

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