第15話「四天王……あれ?」
俺達は城の奥へと進んでいった。
しかしこの城、外は真っ黒だったが中は壁も柱も白く、悪の巣窟というよりはどっかの宮殿みたいだった。
敵も全然出てこない、やっぱ外に全軍出ているのか?
と思いながら上階へと続く大階段の前に着き、そこを上ろうとしたが
「ん? 何か気配を感じるぞ」
小次郎さんがそう言った。すると
「ほう、流石勇者達だな」
現れたのは六本の腕があり、その手には六本の剣を持った異形の魔物だった。
「何だお前は!?」
「俺は大魔王四天王の一人、アシュラ。ここを通りたくば俺を倒すのだな」
その魔物、アシュラが名乗った。
「そうかよ、じゃあ全員で」
「いや、あいつは私が押さえる。皆は先に進め」
小次郎さんがそんな事を言ったが
「え、でも小次郎さん一人を置いては」
「いいから行け!」
「ふふ、一人で俺を押さえられると思ってるのか? それにここを通すとでも」
アシュラがそう言って身構えると、何処からとも無く禍々しい声が聞こえて来た。
- いや、通してやれ -
「こ、この声は大魔王?」
「え? だ、大魔王様、何故ですか?」
アシュラも驚きながら尋ねている。
- フフ、お前だけに手柄を与えては不満が出るからなあ -
「で、ですが」
- ほう、余に逆らうつもりか? -
「い、いえ承知致しました! ……という訳だ。そいつ以外は通っていいぞ」
アシュラはまだ不服そうに階段を指差して言う。
「ふん。一応は大魔王に感謝しておくか」
「小次郎さん、くれぐれも気をつけて」
「ああ。トウマ、皆。後は頼むぞ」
俺達は小次郎さんを残して二階へと進んだ。
そして二階の広間にいたのは美しい顔だが髪の毛が蛇のメデューサだった。
「来たわね。さあ、アタシの相手は誰?」
メデューサがそう言うとレイカさんが前に出た。
「わたしが相手しますよ~。さ、皆さんは先に」
「レ、レイカ一人じゃ危ないよ。オラも残る」
ドンタさんがレイカさんの肩を軽く叩いて言う。
「え~? 大丈夫ですよ~」
「いやレイカさん。ここは二人でお願いします。夫婦なら息ぴったりでしょうし」
それに本当に一人で大丈夫なのかわからんが、最強秘術使いのダンナさんがいればまず負けないだろうしね。
「うーん、わかりました~。じゃああなた」
「う、うん。トウマさん、皆。気をつけて」
「ええ」
三階
「うわ、アレは全員でじゃないと無理じゃない?」
イリアが指差した先には、大きな翼を広げた黒いドラゴンがいた。
「ううん、僕があいつをやっつけるよ」
「ニコ君、私も残るわ。皆さんは先に」
マオリがニコにそう言うと
「うん。お姉さんもいてくれたら百人力だよ」
「ふふ、ありがとうね」
マオリは嬉しそうに笑った。
「あの、失礼ですがお二人だけで大丈夫ですか? 僕も残りましょうか?」
ミッチーが心配そうに言う。
「いや、ニコはこう見えて俺達の中ではトップクラスの強さだぞ。それにマオリは……だしね」
俺はミッチーにしか聞こえないように言う。
「そ、そうなんですか? わかりました。ではニコ君、マオリさん。ご武運を」
「ええ」
「うん」
俺達は四階へと進んだ。
四階
「あ、あれ?」
そこには白いライオン型の獣人と鳳凰のような翼を持った鳥人がいた。
「俺はシシ。こっちはフェニだ。さて、俺達の相手は誰だ?」
ライオン獣人が名乗ったが、そのまんまな名前だな。
って
「え~と? あの、あんたらって二人共四天王?」
「そうだが?」
「なら合わせて五人、四天王じゃねえだろが!」
「私達は二人で一人のようなものだ。これは大魔王様も認めているぞ」
今度は鳥人のフェニがそう言った。
「まあ、そっちのボスがいいってならいいけどさ。さて、誰が」
「にゃあー! あたしがヤルにゃー!」
「よし、今度こそ僕も戦いますよ」
マウとミッチーが前に出た。
ところでマウ、何か字が違う気がするぞ。
「ほう。あの猫型獣人、なるほどな」
「それにあの男も……油断するなよ」
あ、あいつらマウの正体に気づいてやがる。
それにミッチーの力にも警戒しているようだな。
「さ、こいつら倒してから追いかけるから、トウマとイリアは先に行くにゃ」
「あ、ああ!」
そして俺とイリアは長い階段を上り、大魔王の間へと辿り着いた。
だが
「あれ、いないのかなー?」
「いや、気配は感じるが」
- ふふ、よく来たな勇者よ -
姿は見えないが声だけが聞こえた。
「何処にいる、姿を見せろ! そして」
- まあ待て。余との対決は他の者達の戦いの後にしよう -
「え?」
- ふふ、貴様に見せてやろう。仲間が惨たらしく殺されていく様を -
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます