第177話 課題

久美が対に2開戦に突入する


「では次の対戦相手だね、来てくれ!」


登場した者は健達もよく知るものだった。


「げ! 巨人!?」


「お前! クリュティオスか!」


「久しいな、大和」


クリュティオス、思い出して頂けたであろうか?

こう言えば良いだろう、ヘカテーに松明で殴り殺される運命の巨人である。


「そうか、お前はネーレウスとは異父兄弟、ポセイドーンの一族でもあったんだな、てか何でポセイドーンにまで刃を向けてあの戦争に参加したんだ?」


「ポセイドーン様が南アトランティスに付いた事を知らされていなかったんだ、まあ言い訳にしかならぬがな…………そんな俺をポセイドーン様は許して下さった。そしてお前の事も聞かされた、お前はまごうことなき未来人、今一度聞こう、あのままでいれば俺は本当にヘカテーに松明で殴り殺される運命にあったのか?」


「ああ、そうだ、だがギガントマキアはオリュンポスとお前達ギガースで起こされる争い、ガイアの要請でな、だからお前がポセイドーンを裏切らない限りその未来は変わる、てか多分もうギガントマキアは起こらないぞ? 俺とポセイドーンがティターン神族を助けた、だからガイアも大人しくしてるだろう、元々ギガントマキア事態自分の子であるティターン族へのゼウスの不当な扱いに怒ったガイアが始めた物だからな」


「そうだな、だがその歴史は変わった、その意味でも我は今回ティターン族を救う大和に付いたのだからな」


「そうか、あんたは前回の周回の記憶が有るんだもんな、大まかな記憶は有るのか、ポセイドーン」


「そうだ、だがゼウスはまたその過ちをおかそうとしている、我が弟ながら考えておる事が解らぬ」


「エアとベールの争いじゃよ、それにゼウスは肩入れしておる」


「おお? 朔、陛下達の訓練は良いのか?」


「今は桜が見ておる、それにもう充分強くなったしのう、じゃから主人殿や久美、マルティアの成長を見届けようとのう、マルティアの舞台は終わってしもうたか」


「アプスー、それはどういう事でしょうか?」


「ポセイドーンよ、今は朔じゃ、エアは魂を……宇宙を大きくする道を模索した、宇宙の意志そのままに、ベールは秩序を重んじた、そのベールに付いたのがゼウスじゃよ。じゃがのう、秩序を重んじるのは構わぬ、宇宙を拡げると言う前提の元でならのう、ベールのやっておる事は宇宙を衰退させる事じゃ、アヌが眠っておるのをよい事に好き放題じゃ、それは我等は容認出来ぬ」


「そうでしたか、ベールが」


「まあその話しは後でゆるりとの、進めるがよい」


「では久美、クリュティオス、初め‼」


「朔、それでルチルの方はどうだ? イシュタルとの訓練に入ったと聞いたが?」


「魔法は使える様になったのう、じゃがあの性格は一筋縄ではいかぬようじゃ、自分を否定しすぎておる、あれでは大きな魔法は使いこなせぬ、今はアグディスティスが付き合っておるよ」


「そうか、まあ後で詳しく聞かせてくれ、今はこの試験に集中しよう」


巨人相手の戦闘は久美も経験した、だがクリュティオスもここで修行しているだけあり、短期間でかなり腕を上げた様だ、だが久美は落ち着いている。

クリュティオスの攻撃に落ち着いて対処出来ていた。


「見違えたのう、久美は相当腕を上げた、エレキシュガルの魂が目覚めたとは言え、あれほどにはならぬ、テーセウスは教えるのが上手じゃのう」


「まあな、久美も相当努力してた」


「上皇、私も腕を上げましたよ!」


「そうか、お主の成長を見れぬは残念であったのう」


クリュティオスはその体で大きなこん棒を振るっているが、久美はそのこん棒を見切り、難なく交わしていた。

そして対に久美が反撃に出た


「不思議だわ? アトランティスの開戦の時はあんなに苦労した巨人の攻撃が、今は全く気に成らない…………最初は様子見のつもりだったけど、これなら魔法も要らないわ、じゃあ反撃に出よう」


巨人の弱点は足、サイズの小さい人間を相手にする場合、余程の事でも無い限り、速度で上回る事は出来ない、詰り高速で動き回ればそれにおいつこうと足に負担がかかるのだ。下手をすれば自滅する恐れすら出てくる、そこまで待っても良いが、連戦を控えている久美にそれは出来ない、だから久美は足への攻撃も開始した。


「く! チョロチョロと」


ドゴ!

ドカ!


地響きをたてながら棍棒で久美を打ち付けようとするクリュティオス、久美はその悉くを交わして足に攻撃を入れる、久美が狙うわ左足のアキレス腱、そこに攻撃を集中している

だが左足を軸足にして久美を追うクリュティオス、集中的に久美に攻撃を左足に受け続け対に…………


「グワーー!」


ドーン!


倒れこんでしまう


「戦闘続行不可能と見たけどどうかな?」


「降参です!」


「勝者久美!」


「大丈夫? 今回復魔法をかけるわ」


「すまぬ、だがここまで強くなっているとは、見違えたぞ」


「ありがとう、そう言ってくれるとうれしいわ!」


「お主もよう頑張ったクリュティオス! 次のオリュンポスとの戦いにはお主も腕を更に上げ手伝ってくれ」


「は! 必ずや」


「少し休むかい? 久美」


「大丈夫よ‼ まだ行けるわ」


「解った、では最後の三戦目、来てくれ‼」


三戦目に現れたのは…………アイオロス‼


「え!? アイオロス?」


「そうだ久美! 俺がお前の三戦目の相手だ、俺に勝ち、見事卒業して見せろ‼」


「解ったわアイオロス、全力で行かせて貰うわね!」


「テーセウス、ちょっと久美にアドバイスを」


「兄さん、うん」


「良いか久美、先ず頭に叩き込んでおくのは…………今のお前ではアイオロスには勝てない、それをしっかりと頭に入れておけ」


「え!?、そうなの? 無理……なの?」


「勘違いするな! 勝てないからこの勝負を投げろなんて言ってるんじゃ無い」


「どういう事? 勝てなきゃ卒業出来ないんでしょ?」


「良いか、俺が言ってるのは単に実力の事を言っているんだ、今のお前の実力はアイオロスには及ばないって事だ、それと勝負は別の話だ。俺の見た所この卒業試験はある法則によって対戦相手を決めている節がある、マルティアの時とお前の二度の試験を見て俺は確信した。」


「法則? どんな?」


「簡単に言うと課題だ、お前達の持つ戦闘時に置ける言わば苦手克服が出来ているかの見極めの意図が見て取れる、今回アイオロスの様な相手が出てきたのは久美、格上の相手との戦闘がお前の課題だからだ。」


「格上の相手との戦闘が……」


「お前は格上の相手と戦闘する場合必ずやってしまうのがパニックだ。戦闘スタイルがまるで出鱈目になってしまうのがお前の悪い所何だ。だから良いか? アイオロスとの戦闘は必ず何度か追い込まれるだろう、だが冷静でいるよう心がけろ、勝機はある、この戦闘の目的が課題克服の見極め意図が有るならアイオロスは何らかの縛りをして出てきている筈だからな! それを見極めろ、そして追い込まれた場合は俺を見ろ‼ 良いな?」


「うん! 解った」


久美は最後の試験に向けて戦闘準備に入る、アイオロスと言う大物を相手に……

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