第164話 神々の死闘

第十二プリズン、俺達は最深層とも言えるコキュートス《氷地獄》に限り無く近い場所にまで辿り着く


「楓、大丈夫か?」


「寒い……」


「ほら、暖かい飲み物だ、これで少し暖まる」


「うん、ありがとう」


「一段落つきましたか?」


「何者だ‼」


「私ですよアイオロス!」


「やはりここに居るのはお前か、夜の女神ニュクス」


「当然でしょう、ハデス様をお守するのは私以外誰がいて?」


「原初の神でありながら堕ちたものねニュクスちゃん…………」


「ナンムのメギツネが、我らは共にティアマトの原初の神、お前にとやかく言われる筋合ではない」


「お前が誰の下に着こうが構いません、ですがエアの決定に従えないと言うならここで死んで貰います‼」


「もう一人ナンムのメギツネがいたか、ならば私と戦うか? 月神よ」


「良いでしょう、ならここは私が引き受けましょう、主人様達は先に」


「ナンナ…………解った、なら先に行くぞ‼ 必ず追い付いてこいよ!」


「手はだせないけどあたしもここに残っていい? 健様」


「どうしたシャチー?」


「感、、かな? 何かすっごく引っ掛かるの」


「感? …………そうか、成る程…………解った、ナンナと一緒に追い付いてこい!」


「うん! 解ったよ!」


「多いね、あたしもここに残るよ健様」


「解ったカーリー、手を出して来たら迷いなく殺せ!」


「言われるまでも無いよ」


「じゃあ行くぞ‼」




「さてカーリー、いい?」


「何時でも!」


「出てきなよ、そこに潜んで居るのは解ってるよ! 殺気が丸だしなのよね、隠れてる意味無いじゃん」


「…………出てきなさいお前達、、その目は伊達では無い様ですね? お嬢ちゃん」


ニュクスの呼びかけにより、20人程の何とも形容しがたい者達が現れた。

例えるならば幽霊、動物と魂の中間的な存在の様で、形は人とも言えず動物とも言い難い何とも言えない不気味な存在だった。


「シャチー、カーリー、ありがとう、そいつらは頼みましたよ? 私はこっちの大元をやります。そいつらはオネイロスの一族、このニュクスが単独で産んだ夢の神です、ですが攻撃は普通に効きます」


「我が子らはこれでも一応神、このお嬢ちゃん達に相手が勤まるかしら?」


「お前の方こそ子等を失いたくないなら引っ込めた方が良いですよ? 今回お前は生かして捕らえます、実は我が主人はこの戦争の間ずっと男女の営みをしていなくて、相当餓えて居るようなんですよ…………戦いが終わった後の反動が今から恐ろしくて、貴女は生贄としてちょうどよい、我が主人の性奴となって貰います」


「頭に来ますね…………私が神にもなっていない人間の性奴? お前はいつもそうです。偉そうに上から何でも物を言う、、只エアから産まれたと言うだけで力も無い癖に…………」


「力も無い? 貴女は私の力を見た事が有るのですか? 私は只の一度も自らの力を解放した事は有りませんよ? なら今回は解放してあげましょう、その上で今の言葉をもう一度言ってみなさい」


ナンナを取り巻く気がみるみる上がって来る、今ですらナンナの神聖は破格だと言うのに更に大きく膨れ上がっている。


「な! 馬鹿な‼」


「うわ~、ナンナ様凄いや‼」


ーーーーーーーーーー


最後のプリズン、第十三プリズンに健達は要約到着した。


「ここが最後のプリズンか、辺り一面氷ついているな」


「それだけコキュートスに近いと言う事だろう」


「そうです、この下はコキュートス、ようこそ最後のプリズンへ、ここまで来たのです、あなた方は確かに真の戦士と言えるでしょう。ですが私はネメシス、あなた方の行いを許す訳には行きません」


「はあ? お前美人だからって勘違いするなよ? お前の神格は神の憤りと罰の擬人化だろう? 悪いがエアに対しての反乱者はお前達じゃねえか‼」


「私達がエアに対して反乱者? 何を馬鹿な事を、我が主君ハデス様がその様な事をするはず有りません‼」


「お前何も聞いていないのか?」


「よせ大和、時間が無い、こいつは若い癖に頭の硬い奴なんだ」


「ならば叔父上、私が相手をしましょう、皆は先に進め」


「ネーレウス、悪いが先に行くぞ?」


「ああ、俺も後で合流する」


「では行くぞ!」



ーーーーーーーーーー


第十プリズンでは久美と朔耶が猛烈な戦闘を繰り広げていた


「アイン.ソフ.オール‼ ケテル!」


「アグニ‼」


「天使の軍団を舐めるなー!」


「悪いですが私は健兄さんの物、他の愚物等舐める訳が有りません、死になさい、ティファレト‼」


「グハーーー!」


猛烈な高温を伴った光、朔耶の造り出したティファレトは天使の羽を焼ききった。


「今よ、久美!」


「OK! 伸びろ!」


久美のウルスラグナが槍に変型して伸びる、落ちて来る天使達を串刺にした。


「ガハ! グヲーーーー!」


「そこでじっとしていなさい! 鬼!」


朔耶が剣でゴリアテの足を切った


「グァバーーー!」


ズシーン!


巨体が倒れて地響きがする


「朔耶! 後どれくらい?」


「まだ60位は居そうね…………」


「きりが無いわね…………」


「弱音は厳禁よ? 任せられたのです、何としても切り抜けて追い付きましょう」


「仕方ないわね、なら一気に凍らせてやるわ! シヴァ‼」


ゼロポイントモーション、久美の絶対零度の魔法が零点振動を起こし、凍結点を越えて凍らせない最恐の物質転化


「アガグゥワーーーーー!」

「ギャーーー!」


「ちょ! 何これ⁉ 一体どうなっているの? 何故凍らないの?」


「あたしにも実は詳しい事は解らないのよ…………兄さんが解説してくれたんだけどチンプンカンプンで……アハハ…………」


「チンプンカンプンの魔法でこんなにされたのね…………敵に少しは同情するわ…………」


戦い事態はまだ続いているが、勝敗は最早誰の目から見ても明らかであった。

久美の魔法はもう神の領域にまで昇化されていた、エレキシュガルの高い魔力にアグディスティスの魔法理論の組合せはナンムの一族のレベルにまで到達しているだろう。

そして覚醒した朔耶の技量は健にも近いレベルにまで到達している。

ただの堕天使とゴリアテレベルではどれだけ集まってもこの二人には役不足であった、全滅はもう時間の問題であった。


ーーーーーーーーーー


第十一プリズンではオルペウス、マルティア対アンラ、マンユの戦いが繰り広げられている。


「出でよアヴェスター!」


アンラ、マンユは頭3口6目の有翼の龍蛇を召還した。とてつもなく大きいドラゴンであった、だがそのドラゴンは…………


「召還魔法か、マルティア嬢、あのドラゴンを任せて………………いや、あれはここで殺すのは待ちましょう、あれは…………」


そう、そのドラゴンは間違いなく核兵器を投下したアンカラゴン、愛理の敵のドラゴンであった。


「やはりここまで来たかウジ虫どもよ!」


「こんな所で逢えるとわね、僕は感謝しているんだよ、君のせいで大切な部下を多く失った、先ずは生捕りにさせて貰おう」


「寝言か? なら寝てから言え」


「寝言では無い! 貴様の生け捕りはこのマルティアが賜った! 駄竜よ!」


「小娘が、我を駄竜呼ばわりとは、その命で償え!」


マルティアは竜のブレスを諸に喰らった


「クックッ……一瞬で黒焦げだ…………な! 何⁉」


「ちょっと暑かったな、、、これだけか? 駄竜で間違いないではないか!」


「黙れ小娘‼ もう一度我がブレスを喰らえ‼」


「止めておけアヴェスター、この娘の着ている鎧、まさかとは思ったが…………神衣だ!」


「何⁉ まさかこんな小娘が神だとでも?」


「でなければお前のブレスをまともに喰らって無傷な訳無かろう…………名を聞こうか? 娘!」


「我が名はマルティア大和、転生前の名は…………パラス‼ 我は女神パラスだ!」


そう、この戦いも勝敗は誰の目から見ても明らかであろう、神2人対邪神とその邪神に造り出された竜、勝敗は付いていると言えるかもしれない


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る