第152話 アークエンジェル

絶対零度ぜったいれいどとは、温度の下限で理想気体のエントロピーとエンタルピーが最低値になった状態、つまり0度をさす。

−273.15 ℃、この状態では原子さへもほぼ動きを止める。

量子力学では不確定性原理のため、原子の振動が止まることはなく、エネルギーが最低の状態でも零点振動をしている。


現在久美は母ちゃんの説明により、自ら放つダイヤモンドダストを素粒子レベルにまでイメージを拡大し氷魔法ではなく、絶対零度の零点振動をしている言わば冷気を放出している。

炎が凍りつかない…………だがこのまま炎を絶対零度の冷気で冷していけばどうなるか…………


「ウワーーーーー! 俺の、俺の体が! 何だこれは⁉ 感覚が何もない、目も見えない、音も聞こえない! 一体どうなっているんだ!」


そう、物質は量子レベルで考えるなら零点振動をしている。凍っているが、振動をしていてエンタルピーは0にはならない。

これを魔力で意図的に行うと、本来凍りついて冷凍死する筈が、生きて意識の有るままに凍りついて五感のみを失う事になる。これ程恐ろしい事は無いだろう。

神では有るがセブンセンシズには目覚めていないのだ。


「これ一体どうなってるの? 我ながら凄く恐ろしい事をしているのが解るわ?」


「さあいきましょう~、ヨフィエルちゃんはもう喋る事も出来ない筈よ~」


「おい、母ちゃん…………」


「どうしたの~? 健ちゃん?」


「これ、マジで母ちゃんの魔法なのか?」


「そうよ~、ママの奴はこのまま氷の柩に生きたまま閉じ込めるとか色々出来るけど、久美ちゃんにはまだ無理ね~」


「そ、そうか…………」


「健ちゃんもママの息子何だから出来るように成るわよ~?」


魔法はイメージ力が大切だと言う、なら母ちゃんは物理法則に炊けているんだ、じゃなきゃこんな真似出来る訳が無い、そうだ、母ちゃんも現代人が転移してきた天空人だ、だからこの次代にこんな真似が出来るんだ‼


「なあ? 母ちゃんは現代にいた時は何をやってたんだ?」


「え? 健ちゃんのママよ?」


「おい! 確かに似てるけどもっと歳行ってたぞ!」


「健ちゃんも歳とってたでしょ?」


「…………何時だ⁉ どのタイミングで来た? 何故最初に言わなかった!」


「最初に言わなかったのはイナンナちゃんとの約束で~、多分健ちゃんがここに来る10日位前よ~」


俺は産みの親と何発もやったのか…………死んだ…………もう立ち直れねー

何故気がつかなかった…………

似てるのは間違い無かった、でもまさかとは思ってたが、、浩二は確かに似てると…………

…………よし!忘れよう、俺は何も聞かなかった。


「ねえ健兄さん? アグディスティスさんて加代子おばさんだった…………」

「元気ですかーーーーーーー!」

「…………わ……解ったわよ…………現実逃避でしょ?」


「とりあえず先に進もう…………」


「そうね~健ちゃん、久美ちゃんも行くわよ~」


ーーーーーーーー

敵本部


「ヨフィエルがやられた!」


「何だと‼ 相手はどのくらい倒したんだ?」


「一人も倒してはいない…………」


「馬鹿な! 我ら大天使アークエンジェルが一人の敵も倒さずに殺られたと言うのか⁉」


「だが敵にはナンナとキュベレイが居るんだ‼」


「…………確かにティアマト原初神が二人も相手では流石のヨフィエルでも無理か…………」


「特にキュベレイは厄介だ、あれの武器は我らでは押さえられん」


「キュベレイか、確か息子も一緒にいたな?」


「エンメルカルだ、だが奴は今だ記憶を引き継げない若輩だぞ? 我らが気にかけるほどではない」


「今はな、だがキュベレイの息子だと言うことを忘れるな! 覚醒でもされたらそれこそ手に負えないぞ⁉」


「だがどうする⁉ 奴の側にはキュベレイが張り付いているのだぞ?」


「何としてでも引き離せ! 覚醒前に殺すんだ!」


ーーーーーーーー

その頃アイオロス達は第一のプリズンにたどり着いていた。


「何か薄気味悪いところね……」


「朔耶姉、恐いの?」


「ち! 違うわよ! 何いってるのシャチー……キャーーー‼」


「単なる魂だ、大袈裟に騒ぐな!」


「…………そりゃアイオロスさん達は馴れてるかもだけど…………」


「来たようですよ!」


「よく来た、ここは第一のプリズン、等活地獄だ。悪戯に生きものを殺した者がここに落とされ懺悔する所だな、さて、俺と戦う奴は誰だ? そこの黒いガキ、お前など沢山生き物を殺してそうだ、この地獄がお前の様な小娘には調度良いだろう、来い!」


「へ~、様はこの中であたしが一番弱そうに見えたんだ~、だからあたしを名指ししたんだよね? そうだよね?」


「馬鹿を言うな! この地獄に一番相応しそうなのがお前だから…………」

「ごちゃごちゃ五月蝿いよ! 良いさ、アイオロス、ここはあたしに任せな! 死ぬほど後悔させてやんよ!」


「カーリー! 無理しちゃ駄目よ?」


「朔耶姉は心配症だね! こんなの直ぐに殺して追い付くさ!」


「なら大和達と合流しろ、俺達は先に進んでいるぞ」


「カーリー、無茶は駄目よ?」


「解ってるよ、シャチーもな」


「今生の別れは済んだか? 小娘」


「はあ? 何いってるの? 誰が今生の別れだって? 死ぬのはお前だよ、今見せてやるよ」


カーリーのプロビデンスが開く、とてつもなく禍禍しい気が辺り一面を多い尽くす


「な⁉ 何だその気は! 禍禍しい、お前の様な不気味な小娘は早々に息の根を止める必要がある!」


「悪いけどさ? あんた何様? 生き物を簡単に殺してとかグチグチ言っててさ? こんな小さい子供に息の根を止めるとか言っちゃうんだ、矛盾しすぎだよインチキ天使」


「貴様! この大天使サリエルに対してその様な暴言、許さんぞ!」


サリエルは持っている大鎌をふるい飛びかかって来た。

だが…………カーリーはその場を動かずにじっとしている


「貰ったぞ小娘ーーー!」


殺ったと思ったがサリエルには何の手応えも来なかった。


「な! 何?」


「甘いね! 私のこの目はプロビデンス、全てを見通すんだよ? あんたがどんな攻撃をしようと予め解っている攻撃なんか軽くかわせるさ! しかもそんな鈍重な攻撃、大袈裟にかわす必要もないね!」


カーリーはプロビデンスを光らせサリエルを睨んだ、そしてその瞳は既にサリエルの次を見ている…………


「馬鹿な! 鈍重だと⁉ この大天使サリエルの攻撃を言うに事かいて鈍重な攻撃だとーーーー?」


カーリーは健から預けられたワルキューレ隊の士官様日本刀を抜いた


「鈍重だよ、まともな攻撃見せてみな? こう言う攻撃をさ!」


カーリーが第三の瞳からドゥンを出した


「ドゥン! 行け!」


ドゥンがサリエルに向けて突っ込む、だがサリエルは左にかわし、ドゥンに切りつけるが


「何? は!」


カーリーが首筋に刀を突きつけた


「こう言う攻撃をさ?」


「な! …………小娘ーーー!」


「次は止めないよ? まだかかって来るかい? 小動物を無闇に殺すとここに送られるんだろう? あたしも小動物は殺したく無いんだよね? あんたみたいなの」


「き! き、貴様ーーーー!」


サリエルではカーリーの相手には不足だった、カーリーはドゥルガーの産み出した悪魔、闘神にとってはアークエンジェル等敵には成らないのだった。


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