第151話 Zero-point motion

馬鹿対犬の戦闘が始まる


「ウラーー!」


ブローマが火栓槍を使い火を浴びせるが



グワーーーーー!

犬も火で応戦する。三首の犬の真中の首が火を吐いている、そしてブローマが逃げる方向へ右の首が猛烈な酸を吐き出す、地面が溶けている。

辺り一面二人が吐き出した火で猛烈に暑い…………


「この野郎! 俺のお株奪いやがって! あ、アブね……これでどうだ!」


ブローマは足元を槍で刺す


グワーーーーー!


「うぉ! 暴れやがった、アブねー!」


「おお? ブローマ、お前何遊んでんだ? そりゃケルベロスか!」


「おお兄貴! 無事だったか、てか遊んでねーよ!」


「おおそうか、てかこんな犬こうすれば良いんだよ、母ちゃん、蜂蜜と小麦の粉を練って焼いた菓子とか出せるか?」


「こんなので良いのかしら?」


「おお! 大丈夫だ! ほれ!犬っころ、食え」


ケルベロスはむきになって焼き菓子を食べている


「行くぞ!」


「んな! こんなんで良いのかよ‼」


「おお、こいつの好物は神話にしっかりと書いてあるからな、地獄の番犬とか言われてるがこいつはこの方法で何人も通してるんだよ、単なる意地汚い馬鹿犬だ、菓子がなくなる前に行くぞ」


「スゲーな兄貴! こんな方法も有るんだな、俺は殴る以外思い付かねーぜ」


残念ながらブローマは脳筋であった…………


ーーーーーーーー

「ここからはゲヘナ、神が罪人に処罰を与える場所になるわ、本来生者は入る事を許さない場所なんだけど、ハデス様はお優しき御方、貴方達の挑戦を許されたの、だけどここからはこちらの指示に従って戦って貰うわ」


「ごたくは良い、私達はマナの壺が欲しいだけだ、説明を早くしろ」


「相変わらず愛嬌が無いわね? アイオロス、まあ良いでしょう、この先には審判の門が有り、罪人の罪の重さにより落とされる様々なプリズンが存在するの。そこを全て越えると塔迄たどり着けるの、でも時間は少ないわよ? ハデス様はマナの壺を冥界の底に封じてしまう事を決定されたの、あれには色々厄介な機能が有る事が解ってね? その封印が後六の刻程で行われるわ、それまでにたどり着かなければ、マナの壺は永遠に地のそこよ。

格プリズンにはそこを守護する天使が居るわ! その守護天使達を倒すとコキュートスへわたる為の鍵が貰えるの、全ての鍵を集めればコキュートスからレーテーへ渡り、レーテーのガーディアンを倒せばハデス様の元へたどり着ける」


「プリズンはいくつ有るの?」


「13よ、戦いは必ず一対一で、破れば鍵は渡さない、いい? さっきの様に誰かに任せて先に進んでも良いけど、そいつが負けたら引き返さなきゃいけなくなるわ」


「良いだろう、その条件で受けてやろう」


「では私の案内はここまで、審判の門に行きなさい、勿論そこにもガーディアンが居るわよ?」


「行くぞ!」


アイオロス達は門の前までたどり着いた、その門は大きく、そして薄暗く、不気味であった。


「よく来た、神を冒涜する罪人どもよ! 我が名はヨフィエル、これよりお前達に裁きを下そう」


「バカを言わないでください、何が神を冒涜する罪人か! 我が名は月神ナンナ、神を冒涜しているのはお前達だ!

我が姉の造りしマナの壺を奪ったばかりか私物化し勝手に封印すると、そして私に対してニンフごときが裁きを下すと? 笑わせないで下さい」


「黙れ! ここは冥界、ハデス様が統治される場所、全ての生殺与奪の権利はハデス様に有る、そしてハデス様に変り裁きを下すのはこの私だ!」


「ナンナ、こんなのにかまっているのは時間の無駄よ! ここで少し私が相手をしておくわ! 皆は先に進んでちょうだい」


「良いのですか? 久美」


「朔耶、私ね、実はエレキシュガルの記憶も有るのよ、それでね、実は私エアからこの冥界の統治権を与えられてるみたいなの…………」


「そうよ、お姉様、お姉様はエアから、ん~ん、パルスーを持つお母様からお姉様に冥界の統治権が与えられて居るの、お父様に何時でも逢える様にね」


「そうだったんだ、だから私がエレキシュガルなのね! 解ったわ、ヨフィエル、ならこの冥界、私が貰うわね! 邪魔するならこのウルスラグナの錆びにしてあげる」


「俺達は行くぞ!」


「待て! お前達はここを通さん……う!」


「このばを動けないのは最早貴方の方よ? ヨフィエル」


久美の刃がヨフィエルの首を捉えた、首筋にウルスラグナを突きつけられるヨフィエル


「久美! 必ず追い付きなさい!」


「ええ! 健兄さんと追い付くわ! ナンナ」


「良いだろう、お前がナンムの一族の冥界の女王なら私はオリュンポスの一族の冥王の側近、ここでどちらが冥界の王に相応しいか決着をつけようぞ!」


「くだらないわね…………」


「何? 何がくだらない!」


「別に私は冥界の統治権なんて欲しくないって言ってるのよ‼」


「なら先程の話は何だ! お前はこの冥界を貰うと言っただろ‼」


「ええ言ったわ! この冥界は地上に出る為の通路の様な物、エレキシュガルで有る私が生身のまま何時でも健兄さんと、母親であるイナンナに逢う事が出来る場所だからね」


「この冥界の役割を何と心得る! その様な戯れ言許さんぞ!」


「あんた馬鹿? こんなの勝手にハデスが好き好んで造っただけでしょ? 最初からこんな冥界何て無かったのよ! 有るのは単なるプラズマの異次元だけよ、それをこんな風に趣味悪く作り替えたのはハデスよ! 悪いけど全部ぶっ壊すわ!」


「よく言った久美! 流石俺の女房だ!」


「健兄さん! それにブローマ、アグディスティスさんも、帝、ナーナ、ルチルまで」


「ママと呼んで良いのよ? 久美ちゃん」


「…………ママ」


「貴様らも一緒に裁きを受けるかーー!」


「誰に言ってんだ? テメー」


「兄さん、こいつは私がやるわ! 先に進んで? 時間があまり無いらしいの、詳しい事はアイオロス達に聞いて」


「駄目だな、時間が無いなら速攻で倒せ久美、時間がどうなろうが知るか! 俺に女房残してトンズラするような男にお前はなれってのか?」


「…………はー、、、解ったわ、健兄さんに何言ってもこう言う場合は無駄よね」


「そう言う事だ、早いとこそのクズ天使やっちまえ!」


「その余裕ぶった会話を永久に出来なくしてやろう! 喰らえ! 審判の炎」


「誰に炎浴びせていると思ってんのよ! シヴァ! ダイヤモンドダスト!」


「んが! 久美が魔法だと⁉ てかあの威力半端じゃねーよ!」


「あら~健ちゃんもママの息子何だから覚醒すれば魔法使えるわよ?」


「マジか! 早く使いてー」


久美のダイヤモンドダストが炎をドンドン凍らせて行く、とんでもない魔力だ…………


「流石健ちゃんとイナンナちゃんの娘ね~、ママの魔力の半分近い威力が有るわ~、久美ちゃん、もっと強く、分子の動きをイメージしなさい、貴女の知る素粒子レベルにまでイメージを拡大するのよ? そしてその素粒子をマイナスにドンドン降っていくのよ‼」


「え? キュベレイママ? こ、こうかな?」


「そうよ~、素粒子はプラスに降れば温度が高く、マイナスに降れば低く、そのイメージを強くする事に寄って魔力ではなく魔法その物を強くするのよ‼」


スゲー、母ちゃんの説明で久美の魔法がどんどん…………嘘だろ? あれは…………

零点振動れいてんしんどう、ゼロ点振動とも言うが、絶対零度においても原子が不確定性原理のために静止せずに振動していることである。

ヘリウムが絶対零度近傍でも固化しないのは、この零点振動が原因だ。


これが神の魔法なのか? 母ちゃんはこんなとんでもねー魔法が意とも簡単に造り出せるのかよ!

久美の魔法がゼロポイントモーションを起こしてやがる、俺も使えるのか?母ちゃんの息子何だから…………

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