第22話 特訓その後に

大地は陥没し、地上の物はすべからく滅び、地はやがて亀裂の中に沈み、完全に滅びる。

その時黄泉の口は開き、彼らはその中に落ち込み、、、


これはエノク書に書かれている、洪水の時とおぼしき描写だ……


エノク書には様々な見方が有るが、一般的に言われているのは、偽書……

だが何の根拠も無い、ただ聖書とあまりにも内容がかけ離れている為、都合が悪いと言った理由でそうなったのだろう。


聖書は恐らく改竄されている、少し前に発見された死海文書を元に聖書が書かれたと言うが、その聖書は旧約聖書だ。

その旧約聖書と聖書事態がよく内容を確認するとまるで別物なんだから、死海文書と聖書は全く別物、つまり聖書がフルモデルチェンジを果たした事は火を見るより明らかだろう。



俺は今このエノク書こそ真実に近いのではないか?と疑い初めている。



アンナは俺の奴隷と成った為、屋敷に戻って来てから全員を集めた、そして今後の方針とこれからの役割分担を決めた。


俺はそれらをアンナから提案された時、正直反対したが……


「健様は私達をお人形にするおつもりですか?」


と問われ何も言い返せずアンナに全て任せる事にした。


アンナが決めた役割はこうだ


主任務

俺の性奴隷=全員


副任務

戦闘=アンナ、ラフィーネ

戦闘補助=リーア

会計=シエラ

雑務=リーア、ルチル、シエラ

輜重=ルチル、ミーシャ、セナ

食事=ミーシャ、セナ


奴隷が増えた場合は随時役割を見直す。


以上がアンナが決めた役割となる。

そしてアンナはラフィーネとリーアに人間を殺める事を禁ずる古来の約定を放棄させた。

最初は抵抗したが、俺にかけると言う言葉は嘘なのか?と問い詰められ放棄する事にしたようだ……


出立はルチルの完治次第と決め、その日からアンナはラフィーネとリーアの戦闘訓練をし出した。

アンナは剣は俺と互角、魔法は、火、水、回復を全て上級まで使え、土は中級だ、そしてその他にも弓、ダガー、体術と正にオールマイティーな戦士だった。

魔法はシエラも使えるが、足の件もあり戦闘は無理なので魔法を使えるアンナは俺達の貴重な戦力となった。


この世界の魔法の事は、俺もアンナに初めて今回教わった。

魔法は基本的に魔術学院で習う事が出来る、ここは身分関係なく、保護監督者が付けば奴隷でも入学出来る。


この世界の魔法は俺の知る物とは大分違い、所謂陰陽道の陰陽説、木、火、土、金、水の五行を根本としていた。


そして火、土、水はよく知る魔法、木、金は所謂いわゆる錬金術だった。


普通の魔法、火、土、水はそれぞれ

初級=簡単な生活魔法が使える

中級=魔物に深いダメージを与えられる

上級=大型の魔物を殺傷できる

王宮=一区画に結界を張れる


錬金術の、木、金はそれぞれ

初級=簡単な生活物質を修復出来る

中級=元素(この場合は木片や、鉱物)を作り出せる

上級=鉱物や木板から新たな物を産み出せる

王宮=未知の物質の元素を解析出来る


となる、因みに王宮は帝都にも数名しかいないとの事。

詠唱などはなく、詠唱が必要となるのは王宮魔法のみだ。

明かりの魔法は火と水を初級までクリアすれば出来る、回復魔法は水と土の中級の応用になり、これをクリアすれば自然と覚えられる。

上級になるとよく言う補助魔法が使える様にる、だがこれは火の上級が必要になり、回復の上級者は少いそうだ。

蘇生魔法は王宮の回復系となり、司祭でも、高司祭と呼ばれる者にしか教えられない、これはまた別の魔法となり、神道と言われる物を極めねばならないからだとか……

え?神道?と思ったが黙っておいた。

因みにこの蘇生魔法は帝とその皇族の一部も使えるとの事……

まあそりゃ、、天皇陛下は神道の言わば法王だもんな……

と言う事も今は黙っておいた。




次に士官学校

ここは所謂戦闘訓練と戦略を習うが、身分の低い者は入学出来ない。

従士から上の身分の者


身分制度

皇帝、皇族

司祭、(司祭の中で貴族出身の高司祭)

武官、(貴族であり将軍クラス)

文官、(貴族であり政治を司る)

士族、(騎士や武士の様な者)

司祭、(高司祭以外)

従士 (村長等)

平民

性奴隷

一般奴隷、(農奴等)

非人、(ジャーリア)

となる。

奴隷の中でも性奴隷が身分が高いのには驚いた。


また天空人は士官すると高司祭と同等の身分が貰えるとの事。

士官しなければ従士程度らしい、そりゃ皆勧める訳だ……


街等に入る時は、身分を証す物が必要となり、俺の場合はハサン先生から貰った手紙がそれになるが、正式には身分証になる手形が発行されるそうだ、それはゲルタ子爵が発行してくれる事にに成った、奴隷以下の者は身元保証人が飼い主になり、飼い主の手形に記載される為、ハサン先生の手形では事足りなくなった為だ。


以上がこの世界の断りとなる。


アンナの教育は完璧だった、ラフィーネもリーアも元々はマムール(戦闘奴隷の意)だった事もあるが、最初は俺に打ち合うことすらできなかったのが、僅か2日で俺にかする事が出来るようになっていた。


現在は様々な武器を使える様に訓練し、一番適正の高いものをそれぞれのメイン武器とする。

その上で武器を購入し、馴れさせると。

アンナからは俺の武器も代えなければ駄目だと言われてしまった。

セルマさんから出かける時に剣を貰ったのだが、旅人様の安物、適当に作られた物だから街に就いたら直ぐに買い直す様にセルマさんからも言われていた。

皆の武器を買うとき俺のも買っておこう。


だが俺には需要な問題がある、フォルムだ。

俺のフォルムは強力だ、そして魔力も必要としないチート技の為所謂MP涸渇を心配しないでバカスカ放てる。

そりゃこの地球上に存在するマナ全てがM.Pなんだから、俺が使用するマナなどいくら使っても最大MPが1億あるプレーヤーが使用mp0.1未満の魔法を使ったに過ぎないだろう。

それにこの地球の生命力その物がマナなのだからエンドレスmp回服薬を常に飲んでる状態なんだ。

では何が問題なのか?と思うだろうが、強力なのが問題なんだ。

簡単に言うと制御が効かないで、常に最大魔法を放っている状態なんだ、もっと詳しい説明をすると、ゴブリン一匹にメテオを放つプレーヤーはいないだろう。

オーバーキルなんてもんじゃない。

ゲームならそれでもいいかもしれない、でもこれはゲームじゃない、回りには仲間も入れば無関係な人間、動物達だっている。

特に環境破壊だって重要な問題だ……

だが俺のフォルムは一発放てばそれらを盛大に巻き込んでしまうのが最大の欠点な訳だ。

つまり俺はこのオーバーキル過ぎるフォルムの制御が出来るようにならにゃならん。


俺はこの数日間フォルムの制御訓練に入った

そして凄まじい、それこそ壮絶な制御訓練の後……

自分のアホさ加減に気付く、、、


「そう言えば……この世界の魔法で詠唱が必要なのって、、、王宮だけなんだったよな…………」



そして……


「バジュラ!」


ドカーン!!


「デカイ、デカイ、、、けど、、、いつもより小さい 、、、」



無詠唱



ボン!



「小さい…………………………」



この世界も頭の中身は置き換わらない様だ…………



俺は自らのフォルムにより地形の変わった広野に一人、夕陽に向かって佇んでいた……



「今日も暑いな…………」

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