花は咲きて 幸せはまた巡りくる

有隈和歌

Prologue 幸せと決別した日

「別れましょう」


 震える唇で、最愛の人にそう告げた時、この会話が電話越しでよかったと思った。

 ぼろぼろと堪え切れずに涙が零れ落ちたからだ。

 嗚咽を堪え、涙を袖で拭い、電話越しに聞こえる喚き声にただ一言だけ口にする。


「さようなら、愛してた」


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