第11話

3日ほどたって、母親に

「何があったの?」

としつこく聞かれたが俺は答えることができなかった。ゆなが傷つく姿なんて見たくなかった。




それから、一週間ほどがたった日、

「ひろと、一緒に帰ろ!」

とゆなが突然行ってきた。

「え、いいのか?」

「うん!」

そういうと、ゆなは元気よく教室を飛び出した。


帰り道、

「ごめんね」

ゆなが、突然謝った。

「ん?なんで、ごめんね?」

「私、ゆうた先輩が他の娘と付き合ってるの知ってた。でも、手放せなくて。だけどね、ひろとが言ってくれたから別れることもできたしでも、ひろとがこんな目に遭って私…本当にごめんなさい」

「あ、そうだったんだ…いや、俺こそごめんな。黙ってて。」

「わかってるから、わかってる。」

「ありがとう。」

そういうと、二人で下を向いたままとぼとぼと帰り道を歩いた。


久しぶりに歩くゆなとの帰り道が空気は重かった。懐かしい感覚もなにもなかった。だけど、ゆなが隣に戻ってきてくれたようで嬉しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る