死神ちゃんの相談所
とあるビルの中に私は居た。目の前には大きな扉があり、中に入ろうとしていた。呼吸を整えて私は扉に手を伸ばした。開けると奥の方に男が一人座っている。私は大きな声で男に届くように言った。
「死神の依頼をしにきました。私を手伝ってください」笑顔で言った私に向けられた顔は何を言ってるのか分からない顔だった。
死神の説明をすると男は段々怖くなっていき、遠くから見ると威圧感がすごかった。
私はお願いしますと頭を下げると男は何も言わずこちらを見ている。視線だけで分かるこの人、絶対怒ってる。喋るまで顔を上げちゃダメだと思いずっと下げている。
ここに来てどれぐらいたったのだろうか。私はまだ頭を上げる勇気がない。
なぜなら私の前に座っている人が怒った顔をして私を凝視しているからだ。怖くて顔が見れない。
「で、用件が何だって言った?」
男が低い声で私に聞いてきた。私はビクッと身体を震わせた。頭を下げたまま深く呼吸をしてからもう一度大きな声で言う。
「私の仕事を手伝ってください。」
辺りが静かになり、時計の音だけが聞こえてくる。男は静かな声で言った。
「顔を上げろ、下げたままじゃ話が出来ないだろ」
私は頭を上げて男の方を見る。黒髪に黒い服を着た黒一色な姿をした男は椅子に深く座りながらこちらを鋭い目で見ている。
「お前の仕事は何だ?言ってみろ」
「は、はい!私の仕事は死んでしまった魂をつれていくことです!」
私は部屋に響き渡る声で言った。
「そうだ、それは死神の仕事であって人間じゃ手助け出来ない。よってこの依頼は無しだ」
男は低い声でそう言った。
「そ、そこを何とかお願いします。頼れるのは何でも相談所の貴方しかいないんです」
私はもう一度頭を下げる。私にはもうここに頼る以外の選択肢は残されて居なかった
「何でも相談所だかそれは人間だけだ。死神の相談何て初めてで却下だ」
何を言っても答えは変わらない。ならこちらもなりふりかまっていられない。奥の手だ。
「手伝ってくれないなら貴方をこ、殺してあの世に連れていきますよ!」
私は大きな鎌を持ち頑張って男を脅す。
「あぁ?」
男は睨みつけて低い声でいった。
「ひ、ひぃ、ご、ごめんなさい」
私は鎌で顔を隠しながら謝った。鎌に隠れて震える私と鋭い目つきの男。どちらが怖いかは一目瞭然だ。
「はぁ、一回だけだ。内容によっては手伝ってやる。」
男は諦めたのかため息をついて言った。
私は嬉しくて笑顔で男に近づき依頼内容を話した。
これが私と彼の初めての出会いであり、初めての仕事であり、長い話の始まりであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます