植物人間
私の幼馴染みは植物人間だ。
いや、皆が思っているのとは違うぞ。病気の方ではなく、本当に植物何だ。
今日みたいに日差しが強く暑い日は頭の上らへんから日光を取り込み私たちとは逆の二酸化炭素を吸い酸素を吐き出している。おかげで近くに居ると酸素濃度が高い気がする。
体育の授業で疲れても水を飲んで回復しやがる。雨の日は喜んで外を走り回るが次の日風邪をひいては私が看病した。
何とも便利か不便か分からない人間である。
でも無邪気に笑い輝く姿を見ているとやっぱり好きだと思う。
人と植物が混ざったコイツを何と呼ぶかはやっぱり植物人間と呼ぶしか無いと私は思う。
「残念ですが今のところ回復は難しいかと思います」
目の前の医者が真顔で俺に言ってくる。
「いつ回復するかは今の所分からないですね」
俺は先生の方に前のめりで言う
「どうにかならないんですか!先生」
医者は無言で首を振る。俺の後ろで話を聞いていた彼女の親が泣いている声が聞こえる。
医者は何も言わず彼女の親と病室を出ていった。
俺は彼女の側に座り、彼女を見る。
「何でお前何だろな。本当なら俺がなってたはずなのに俺が…俺がお前を守れたら…」
涙が溢れてきて声が出ない。
哀しい、辛い、何も出来ない自分に怒りが沸きマイナスの感情が流れてくる。
俺は彼女の横でひたすら泣いていた。俺と彼女しか居ない静かな病室で彼女は安らかに眠っている。
俺の幼馴染みは俺のせいで今、「植物人間だ」
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