機巧少女
私が生まれた場所は小さな廃屋でした
目が覚めると目の前にお爺さんが居た
お爺さんは私を見ると驚きと喜びが混ざったような顔をして泣きはじめた
一年で感情が芽生え…
二年で言葉が話せて…
三年で体を動かせた…
子どもみたいに自由に遊べるようになっていく私に比例してお爺さんの体は弱っていった
病に犯されていくお爺さんはベッドからあまり動けなくなり私はお爺さんのお世話をしていた
ある日、おつかいから帰り「ただいま」と言うといつもはお爺さんの返事が帰ってくるのに今日は反応がない。
私は心配してベッドに走って行った。
ベッドに行くとお爺さんは苦しそうに胸を抑えている。
もう長くない…お爺さんはそれが分かっているのか私を見てゆっくり口を開いた。
「ワシは…ロボットを作ろうとしていた。感情を持ち人の心が分かる人間にそっくりなロボットを作ろうと決めてから五年の月日は流れた。十年目にしてやっと出来たのがお前だ。 お前は人の気持ちが分かる心を持っている。 お前が産まれた時ワシはとても嬉しかった。 子どもの居なかったワシに娘が出来たみたいな気持ちだった。お前と過ごしたこの四年間、ワシは人生で一番幸せだった…生まれてきてくれて…ありがとう」
お爺さんは私の頭を撫でると糸が切れた人形みたいに動かなくなってしまった。
産んでくれて嬉しい、感謝してもしきれないくらいの愛を楽しさをお爺さんは教えてくれた。でも…私はロボットだ。死ねない…所詮人に似た紛い物だ。
死ぬことが出来ない、天国にも行けない…私を置いていかないで…
悲しみで心が一杯になるなら産まれてこなければ良かった…
―私は機巧少女『ロボット少女』だ―
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