虚構ガール

作者 阿瀬みち

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★★★ Excellent!!!

前半から結末に掛けて、ぐーっと文章の色彩が変わっていきます。最初の方は、春です。さくらが舞い散り、美しいねー、あ、あんな所に重たい鞄を持ったビッチがいるね!(うふふ)、という風に、僕なんかにはとても持てない視座で「女子力」について書きまくってある。

やがて、お母様の話がチラホラと出てくる。夏を経て、秋。筆者様の幼少期の話は言葉少なめではあるけれど、瑞々しく、確かな筆致を持って書かれていく。多くの読者は懐かしさと共に読み進める事だろう。時折、CDのレビューやドラマの感想回もある。興味がなければ飛ばしても良い。挫折するのはもったいない。

そして、ご主人が登場する。冬だ。そのご主人の話から、このエッセイはグーっと潜り始める。筆者の奥底まで、時に冷静な分析と、冷静じゃなくていいだろ、と思う程の事実を交えながら深く沈み込んでいく。文章が暗い訳ではない。ただそこには、現実と向き合う、自分の血と向き合う筆者様の文章に対する信頼が溢れている。文章にしなければ「自分の身が持たない」という叫びのようなものが込められている。小説よりも手応えのある、ライブ感のある脈動する文章だ。と、ある病気についての考察もある。それは、僕やあなたが、社会に出て必ず一度は会ったことのある誰かさんだ。他人事ではない。

最後の方で、結構衝撃的な終わり方をする。僕は驚いた。普通に書かれているので、前フリか何かあったのかも知れないけれど、希望が感じられる終わり方だ。小説じゃないから、ネタバレじゃないのだけど、これは最後まで読んでいただいた楽しみにした方がいいような気がする。一周して、再びの春を予感させて終わる。補足の最終回は、言いたい事をノビノビサロンシップみたいに書いている。とっても面白い。

このエッセイは断じて作者様が計算をして書かれたものではない。書いている内に色が変わり、風が変わって、深みを増していった。… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

エッセイの面白みというのはやはり作者の個性にあると思います。
その個性とはズバリ考え方そのもの、少し変わった物事のとらえ方、整然と理屈の通ったちょっと斜め上を行く思考形式。
この作者のエッセイはそんな面白みに満ちています。
とくにキッチリと理論的に考えられている明確な考え方と物事に対する態度、それが軽妙で楽しい文章でどんどんとつづられていきます。
それは時に突き放すようでもあり、諦めるようでもあり、やっぱり前向きな感じであり、凝り固まった価値観をソッと揺さぶってくれます。
さまざまなヒット曲のタイトルから繰り出される言葉と思考の一斉連射に、あなたの心も撃ち抜かれること必死。
ぜひ読んで楽しんでみてください。

★★★ Excellent!!!

よくゲイやオネエは「男女両方の気持ちが分かるから」なんて言説がまかり通っておりますが、あれ本当かなあ? 少なくとも僕は女性について分からないし、男女平等でありたいと願う一方で、女性を侮る気持ちを心の奥に持っていると自覚しています、それは恥ずかしいことだと自分を戒めているだけで。
若い頃には、酷いことも言ったりしたし(ごめんなさい、反省しています)。

つまり、本エッセイを語る資格があるのかないのか、語って馬脚を現す気がするんですが、「世の中の言う女の子らしさって作り物じゃね?」という問いが、とても共感できたんです。
そしてその問いから生まれた疑問に対する作者様の考察は堅苦しくなりすぎず、ときに笑いも交え、なるほどとうなずくことしきり。
拝読しながら敬愛する作家が、「性差より個人差のほうが大きい」旨を述べておられたのを思い出して(僕が女性を語り手にするときはこの言葉に支えられています)。
同時に、世の中の言う女の子らしさから抜けられず辛そうだった人の顔とかも思い浮かんで。

人に甚だしく迷惑を掛けないのなら、皆んな好きに生きられたらいいのになあ。

あと! 毒舌については大賛成! 愛のない毒舌って何も生まないから。不毛だから。使用するにはご注意を!

★★★ Excellent!!!

 エッセイは、書き手が虚構から、創作から抜け出して少し現実やリアリティー含みなお話を書くもんですからそこに書き手の「厚み」が現れます。この書き手さんは、一言で表現するなら———

【卵ハムカツ野菜サンド】みたい。

 いろんな味をひとかじりで味わってみてください。

 女子力に関するエッセイですけど男子も読めば「勉強」になりますよ、たぶん(知らんけど←大阪人的逃げ)

★★★ Excellent!!!


文章には書き手の人格が現れるとよく言われるので、素敵な文章をたくさん生み出していらっしゃる筆者の踏み込んだ話を読んでみたいなあと以前から思っていました。エッセイに綴られる唯一無二の思想、感性、とても楽しく読ませていただいています。趣深い内容で、気取らず飾らない筆者の言葉の中には見えない誰かを尊んでいることが感じられて、読んでいてとても心地よいです。

これからの更新も楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

少女に限った話でなく、今を生きる人々は、リアルだと言えるのだろうか。
話は右往左往し、迷い、結論は先に置かれる。
けれど、結論付けることが、リアルだと言えるのか。

これは虚構だと前置かなければ、迷えない。
正解がないと認めるには、多大な勇気がいるのだと思う。
そんな話を、ずっと語っています。