第166話 外環

幼い頃の世界は

今思うとひどく限られていて

その狭い世界の中で

恥ずかしげもなく無限の夢を抱いていた

小さな体で見る夢は

想像以上に大きくて

でも不思議と

その重さは苦しくなかった


あの頃私の生きる範囲は

あの大きな道路まで

そこを渡って

外の世界に出るなんて考えられなくて

何となく悪いことをしたような

バツの悪さで手を引かれながら信号を渡った

今となってはちっぽけで

臆病な思い出だけど


もう大人になって

隣の駅にも県にもどこにだって行けるのに

なぜか未だにちょっとだけ

その道路を渡るのはドキドキしたりして

今日も少しほっとしながら

道路の向こう側からこちらを覗き

遠い道の先に佇む

あの日の少女の面影を見る




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