第166話 外環
幼い頃の世界は
今思うとひどく限られていて
その狭い世界の中で
恥ずかしげもなく無限の夢を抱いていた
小さな体で見る夢は
想像以上に大きくて
でも不思議と
その重さは苦しくなかった
あの頃私の生きる範囲は
あの大きな道路まで
そこを渡って
外の世界に出るなんて考えられなくて
何となく悪いことをしたような
バツの悪さで手を引かれながら信号を渡った
今となってはちっぽけで
臆病な思い出だけど
もう大人になって
隣の駅にも県にもどこにだって行けるのに
なぜか未だにちょっとだけ
その道路を渡るのはドキドキしたりして
今日も少しほっとしながら
道路の向こう側からこちらを覗き
遠い道の先に佇む
あの日の少女の面影を見る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます