第163話 まつりのあと

狭い空間に満ちていた

笑い声とか熱気とか

ぶつかりあう明るいエネルギー

いつまでも続くはずの

そんな喜びの時は

まるで魔法のように消えた


ここに残るのは

賑やかさの残骸

割れた風船にこぼれたジュース

何もない空間に

吹き抜ける温い風

ああ喧噪は過ぎ去った


胸に巣くうむなしさが

痛みに変わるそのときに

あたりを埋め尽くすのは

虚無感か静けさか


あの温もりを求め

ただ一人記憶の中にいる

何一つ残されていない

空っぽな場所で

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