第96話 ピストル

人差し指をこめかみに突き付けて

狙った急所を確実に撃ち抜いた

流れ出す血はたぶん深い海の色

右目から溢れる涙といつか混ざり合う


この手で貫いてしまいたいのは

別にキミが憎いわけじゃなくて

ただ単にキミという存在を

自分の手で握りしめていたいだけ


もし命乞いなんてされてしまったら

愛しさに狂ってしまいそう

この感情が美しいモノじゃないことくらい

いくら歪んだ僕にでも分かってるけど


坂道を転がるみたいに

どんどん狂っていく僕を

どうかキミだけは抱きしめて

血まみれのその両手で


いつかこんな僕のことを

受け止めきれなくなったその時は

僕ごとキミを壊してあげる

透き通った涙が濁りはじめる前に

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