オリジナリティとは何ぞや?をカレーで例えてみた


 WEB小説は作者と読者が直結しているため、読者のニーズがUPされている作品群の傾向へダイレクトに影響されやすい環境下にあります。


 つまり、読者の趣向に沿った読みたくなる内容のものが注目され、それに応じた注目されやすい内容のものを作者が好んで書くということですね。


 この状況に警笛を鳴らす方も少なくありません。以前にも書きましたが、大半の読者は概ね一度面白いと感じた設定や、世界観、キャラ属性などの他作品を再び読みたくなるものです。


 その反面オリジナリティの欠如を指摘する方の、「似たような内容のものが列挙している」「個性が無い」「テンプレ要素が多く用いてその説明すら放棄した作品で埋め尽くされている」といったような、現状への苦言の声をいたる所で耳にします。


 しかし、オリジナリティに固執してしまうと正直何を読んでも面白くなくなるでしょう。「異世界はもう飽きた」「無能が余所で無双するな」「ツンデレというだけでありきたり」……どこかで見たような設定を全て忌避するとキリがありません。


 そこまでいけば、ライトノベルという枠組みから純文学や児童文学に移行するしかないでしょう。それでも、その文学を読み進めれば少なからず再び似た何かに遭遇するのは避けられない道です。恐らく行きつく先は『地球言語で書かれたものは陳腐だ』になることでしょう。


 

 そこで今回は題名にもある『オリジナリティとは何ぞや?』というテーマを少し自分なりに考えてみようと思ったわけなのです。


 私としましては、WEB小説市場における流行りの現状は『カレー好きの読者』に『より旨いカレーを提供する作者』のようなものだと思っています。


 つまり、カレー好きが集う場においてオリジナリティを重視してハヤシライスをメニューに加えたところで、結局一番人気はカレーのどれかになるということです。


 その点を考えると、今のWEB小説に重要な『オリジナリティ』とは『より旨いカレーを作るにあたっての一工夫』ではないでしょうか。定番テンプレカレー流行り小説には無いスパイス一工夫がグッと作品の味を引き立たせます。それこそが私の考えるオリジナリティなのです。


 もちろん、カレーばかり食べてないでたまにはハヤシライスを食ってみろ!という気持ちもわからなくはないのですが、それは『カレーを食い飽きた人』の『まだカレーが食い足りない人』への不毛な提言なのかもしれません。



 この例えを用いて結論を言わせて頂くと、WEB小説市場はまだ飽きるほどカレーを食べていない人たちが圧倒的に多いということなのでしょう。


 そしてその大半の方もいずれはカレーにも飽き、魅力的なハヤシライスに出合える機会が増えれば自然と流行に変化が訪れることになるだろうかと思います。

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