第40.3話「モンスター農家スカウト!そのさん」

 16階層でジェネラルオークを1体置いて、アユムたちは17階層を進む。


 「がう(あい きゃん ふらーい!)」

 「ボウ・ボッ・ボフ(いぇーーーい!!)」

 「え、あっはい。いえーーい……」


 ジェネラルオークを置いていったのは16階層の犬を茶摘みにつかえないのか検証する為である。

 とにかく人手が必要な権兵衛さんはテストすることにした。


 「ボウ(風を切る感覚がたまらん! 俺も飛べるように進化したいな!!)」

 「ボッ(俺も羽化したら飛べるのかも!!)」

 「ボウ・がう・ボフ(想像したら気持ち悪いからやめて!)」

 「ボッ(存在否定されたっす)」


 荷物扱いの上落ち込むワームさん。


 「ボウ(犬が使えるといいな……)」

 「がう(生理的に無理なんじゃなかったっけ?)」

 「ボウ(そこら辺も呑み込めなくては……、管理職なんてやってられん)」

 「がう(…………)」


 フロアボスの鏡ですな。ねぇ、アームさん。


 「がう(…………ほら、俺ソロ最強設定だし。あいつ集団戦闘特化型だし…………)」

 「ボッ(次がありますっす! 次行ってみましょう!)」

 「がう(おー!)」


 と言うわけで17階層も数分でした。


 「…………ダンジョンがおかしい」


 真顔のアユムだが、主に君が原因なのだが自覚がないようだ。

 さてアユムたちが18階層に下りると17階層と変わらない風景が展開されていた。

 そして正座をして待ち受ける1m級の蟻。

 

 「シャッ(働き蟻って言葉を知っていますか!)」


 開口一番変なアピール。


 「ボッ(てめぇ、俺っちの前でよくもそう言う言葉はけたな?)」


 ここはワームさんのホーム18階層です。


 「がう・ボフ(うちブラック企業じゃないから、蟻さんはちょっと…………)」

 「シャッ(働き蟻って言葉……ネガティブにとらえられた!)」


 ダンジョン農家! はホワイト企業です。ただちょっと経営者とその兄弟弟子は別です。


 「ボッ(…………あれ? この階層俺っちの階層なのに無視される)」

 「シャッ(虫だけに虫を無視します!)」

 「ボッ(アユムん! さぁ、次の階層いくっす! 俺っちの同類は…………帰りに俺っちがスカウトしておくっす…………)」


 こうして18階層もまたほぼ素通りするのであった。


 「…………スカウトの旅のはずなんだけど…………」


 一緒に来たメンバーが悪かったと断言しておこう。

 そして19階層に下りた。


 降りた先で何が待ち受けるのかアユムは心の準備をしつつ降りたのだが。

 だれもいなかった。


 「よかった。ここはまともそう」

 「「「「コケっ(そう思ったでしょ! でも残念!!)」」」」


 上空からかけられた言葉にアユムは苦笑いを浮かべつつそちらに眼を向けると奴らはいた。

 普通の鶏の2倍程度の大きさのリトルホワイトコッコと呼ばれる鳥型モンスターが……。

 翼広げてを空中に浮遊していた。

  

 「「「「コケっ(我ら、鶏四天王!! 無精卵なら毎日提供! )」」」」

 「採用!」


 茶々入れられる前に即断のアユムであった。


 「ボッ(四天王ってなんやねん!!)」

 「ボウ(自分で鶏言いやがったぞ……)」

 「ボフ(1羽、うちにも欲しい逸材)」

 「がう(てか、何気に知性に目覚めたモンスター多くない?)」


 すべてスパイ(ワームさん)の差し金です。通常彼らは20階層で生活しています。

 演出って重要だよね。


 一方そのころ16階層。

 「わん(…………このラインは譲れねぇーっす)」

 「ボフ(何頭来れるん? それ次第)」


 採用面接から採用条件の相談もに進んでいた様です。


 ……ねぇ、何の就職イベント?


 こうして19階層もものの数分で駆け抜けてゆくのであった。

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